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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球激動編

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地球激動編 1-175 異世界の大召喚術師、神社でアルバイトをする

異世界の大召喚術師、神社でアルバイトをする


ファッションブランド・ロムリアの創業者タチアナ・エグリスコバが召喚解除されて彼女の故郷である惑星サモナルドのロムリアに無事に帰還した翌日、最神玲と物部かすみの夏休みが終了となり、また何時もの日常を送ることになる。ただし、まだロムリアの現職の大臣である大召喚術師エンペラールが地球に残っているため、玲とかすみのどちらかがエンペラールを接待する必要がある。勿論神室霊華もその手伝いをするつもりでいるが、今日は午前と午後にそれぞれ1件ずつ降霊術の予約があるため、今は自宅に戻っている。そしてもう1人、ロムリア王家の第二王女であり、地球では2人の娘の母親でもあるヴェレニエラはと言うと、昨晩の時点で既にロンドンに戻っていた。と言うのは、その日の現地時間の夕方に、サマーキャンプから戻って来る娘達を迎えに行かなくてはならないからである。そして今、M&Mの別荘には先の3人だけが残っていた。


  「そろそろ神社が開く時間やから、

   うちはこれから社務所に向かうな」


  「分かった。じゃあ僕はエンペラールさんを

   どこかに案内するよ」


と言うことで、かすみは早速美土路神社の自宅に転移した。そして別荘に残された玲とエンペラールだが、玲はエンペラールにどこか行きたいところがあるかどうか尋ねた。すると、


  「ねぇねぇ、レイさん。

   レイさんとカスミさんの仕事って

   何をされてるんですか?」


  「僕らはですね、神社と言う所にやって来た

   お客さんに、お守りとかお札を

   売っているんですよ」


と言ってもエンペラールには珍紛漢紛(ちんぷんかんぷん)である。今にも頭の上に「?」が出て来そうだったので、玲はお守りとお札を召喚して見せた。


  「へぇー、これがお守りと言うものなのね...」


と言いながらお守りの口を縛っている紐を解いた。そして中に納められている紙を取り出して眺めるのだが、これが何の役に立つのか疑問に思うようで、その点を玲に尋ねた。


  「うーん、実を言いますと、

   僕もエンペラールさんと同様、

   よく分からないんですよ。

   ただですね...」


地球の人々は自分達を超越した神とか仏と言う存在を信じており、その神や仏の力をこういったものに宿らせることで願いを叶えるとかなんとか、そんなことをたどたどしい話し方で何とか説明した。すると


  「ふぅーん、何かよく分かりませんが、

   地球の方々はそう言った存在に依存しないと

   生きていけないのでしょうか?」


  「まあ、そう言う人たちもいますし、

   全く信じない人もいたりしますね」


と答えるが、玲もそこまで詳しくはないため、これで伝わったのかどうか自信が持てなかった。だがエンペラールはと言うと、神や仏の存在に対する興味はないものの、


  「その、レイさん達がされている仕事、

   私もちょっとやってみても良いかしら?」


と玲が驚くようなことをエンペラールは玲に提案した。本来であれば、何か物を売る以上、客との対話は重要である。だが社務所においては、参拝客の求めた物をそのまま渡すだけで、そこには値段の交渉だとか、どれがお薦めだとかと言う提案は発生しない。そのため、エンペラールのようなある意味外国人であっても、何とか務めることは可能である。と言うことで、


  「分かりました。

   じゃあ美土路神社に行きますか...」


と言って、玲はエンペラールを連れて美土路神社の自宅に転移した。


 自宅に戻った玲は、エンペラールを真ん中の空き部屋に連れて行った。そして


  「一応、これに着替えて

   仕事をする決まりになってますので、

   ご協力お願いします。

   あっ、上はTシャツのままで結構ですよ。

   その上に羽織っても大丈夫ですから」


とエンペラールに説明しながら、部屋の中のハンガーラックにぶら下がっている作務衣を渡した。その作務衣は神室霊華が使っている物のため、サイズ的にはエンペラールでも問題はない。玲も急ぎ自室にて何時もの作務衣に着替えた。そして玄関で以前神室霊華が使っていたサンダルを用意して、エンペラールにはそれを履いてもらって2人で社務所に向かった。念のためエンペラールには翻訳イヤホンをしてもらっている。


  「エンペラールさん、

   作務衣きつくないですか?」


  「大丈夫よ、レイさん。

   でも、ここって結構暑いのね!」


と先程まで滞在していた別荘とは比べ物にならない位に、ここ差間見町は暑い。


  「はい、ここだけじゃなくて、

   日本はどこも暑いですよ。

   むしろ僕らの別荘地のある所は、

   特別ですかね」


でも社務所の中は涼しいので大丈夫ですよ、とも付け加えておいた。


 社務所ではかすみが受付に座っているが、特にこの時期は朝から参拝客が大勢押しかけることはないため、至ってリラックスしていた。と言うか、何やら内職中である。尤も長い航海に出ていないだけましかもしれないが。


  「かすみ、エンペラールさん連れて来たよ」


  「えっ、どないしたん、玲?

   どっか行ったんとちゃうんか?」


とかすみはどうやら内職を邪魔されたことに対し不満を募らせ、しかも怪訝な表情で玲を睨み付けていたが、その後ろから


  「カスミさん、お邪魔しますね~」


と作務衣姿のエンペラールが顔を出したことで、漸く事態を飲み込んだ。


  「...と言うことで、エンペラールさんは

   神社の仕事を手伝うことになったんだ」


と言うのだが、まあ確かにアメリカに居るラハニ・カヤンも何とかやっていたから、こちらがサポートすれば問題ないだろうとかすみはそう感じた。そして早速真ん中にエンペラールを座らせて、3人による仕事が始まった。


 今日は幸運とも言うべきか、午前中は参拝客が少なく、エンペラールも数人の参拝客にお札を手渡しながら片言の日本語で「アリガトウゴザイマス」とお礼を伝えたりしていた。そして昼になったところで、玲はエンペラールを連れて先に昼ご飯を頂くことにした。今週は玲が料理当番なので、かすみの分も作り置きする必要がある。そしてこの日のメニューは


  「今日は久しぶりに焼きそばにするんですが、

   エンペラールさんって、

   焼きそば食べたことありましたっけ?」


  「お蕎麦は食べたけど、焼きそばって何なの?」


と言うことで、玲は一度別荘に転移して、冷蔵庫にあった豚肉と人参やキャベツと言った野菜を持って戻って来た。そしてダイニングテーブルの上にホットプレートを準備して、早速ホットプレートで炒めだした。その後でほぐした麺を投入し最後にソースをかけて焼き上げて出来上がるのだが、


  「焼きそばは、こんな感じで麺を焼いて、

   後はソースで味付けする麺料理なんですよ。

   よく祭りの屋台とかで売られてるんですが...

   そう言えば、今度夏祭りに行く予定なので、

   そこでも食べられますよ」


と言いながら、玲は焼きそばを作り上げた。そして3人分に分けて早速食べるのだが、エンペラールは早速口に入れて


  「へぇー、何でしょうか、

   この国の麺料理って

   沢山種類があるんですね~!」


と上機嫌な様子で焼きそばを食べ進める。玲も


  「確かに、そうなんですよ。

   熱々の麺や冷たい麺、固い麺や柔らかい麺、

   そして茹でた麺から焼いた麺など、

   とにかく種類は豊富ですね。

   なので食べ飽きないですよ!」


と笑顔になってそう答えた。そして食べ終わった時にエンペラールは


  「そう言えば先程も話に出ましたが、

   今度その、夏祭り?

   そこに連れて行ってもらえると

   レイカさんも仰ってましたが、

   それって何ですか?」


と夏祭りが分からないため、玲にそのことを尋ねた。


  「うーん、そうですね。一言で言うと、

   何かを祝うとかかなー。

   ロムリアは分かりませんが、

   僕の居たケンタリアでは建国際と言って、

   国が出来た日を祝うことがありまして、

   恐らく何かを祝うんじゃないかと思いますね」


詳しいことは神室霊華に尋ねてください、と言うことである。まあ、(にわ)か仕立ての日本人である玲と言うか、中身のカーンフェルトからすると、やはり説明しずらいことであろう。その後2人は社務所に戻ってかすみと交代し、午後も引き続きエンペラールの手伝いを得ながら仕事を進めて行った。


 さて定時になったところで、玲が夕飯の準備をするために先に自宅に戻り、かすみは社務所の戸締りを始めた。その後、かすみとエンペラールは少し遅れて自宅に戻るのだが、そんな時エンペラールが、かすみが仕事中に何やら書いていたのが気になって、そのことを尋ねた。


  「あー、あれですか!

   あれは御朱印帳と言うノートに、

   まあサインみたいな物を書いてんですよ」


ただし、書く時に使う筆は玲が召喚した自律型兼自立型の物だということを付け加えた。


  「なので、字が書けなくても筆を握っていれば

   勝手に字を書いてくれるんです。

   結構便利ですよ」


とかすみは我が事のように自慢した。エンペラールとすると、先ず文字を書くという行為はロムリアでは殆ど行われないため、ある意味で新鮮な感じに映った。そしてその字を書く筆と言うものも、玲が召喚した自律型でもあり、自分でそのまま立つ自立型の筆だという。ちょっとした小ネタであるが、エンペラールの持つ知識には、自律型は分かるものの、当然筆のような召喚術は無いため、早速帰宅してから玲に尋ねることにした。


 かすみとエンペラールが帰宅した時、既に神室霊華が来ており、玲と一緒に夕飯の準備を進めていた。


  「師匠とエンペラールさん、今晩は」


と神室霊華は何時もの挨拶をするのだが、エンペラールが作務衣を着ている姿を見て、少し驚いたようだ。そして隣で料理中の玲に


  「玲さん、もしかしてエンペラールさんは、

   ずっと社務所の手伝いを

   されていたのでしょうか?」


と念のために尋ねた。玲は今晩のおかずのゴーヤーチャンプルを只今炒め中のため、顔はフライパンに向けたまま口だけ動かして


  「はい、エンペラールさんが

   何やら興味を持ったようなので、

   手伝ってもらいました」


と答えた。そして今日の所は特に問題なく、スムーズに販売を行っていたとも付け加えた。それからかすみとエンペラールが着替えてダイニングにやって来た所で、神室霊華は茹でた枝豆をテーブルの上に並べた。するとかすみは、冷蔵庫から缶ビールを何本か取りだし、先ずはエンペラールと共に晩酌を始めた。


  「エンペラールさん、これ枝豆って言う

   ビールのツマミの定番なんですよ。

   こうやってね...」


と説明しながら枝豆の皮を押して中身を直接口の中に放り込む。早速エンペラールも試してみるものの、最初はうまくいかず、中身がテーブルの上に転がったりした。だがそのうち慣れて来たのか、かすみと同じようにできると、ビールを飲みながら


  「うわ~、なるほどね~。

   これもビールのツマミになるのは

   分かる気がしますよ~」


と上機嫌であった。そして夕飯の準備が整ったところで、4人揃っての夕飯となった。そんな食事中の話題は、今日のエンペラールの仕事に関する感想や、後はかすみから聞いた召喚した筆の事で話が盛り上がった。その後は全員で別荘に転移し、露天風呂に浸かってその日の疲れを取ったところで今日1日を終えたのだった。

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