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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球激動編

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地球激動編 1-174 タチアナの2度目の帰還 (後編)

タチアナの2度目の帰還 (後編)


そんな感じで何時もの光景を繰り広げていた別荘内だが、そろそろタチアナ・エグリスコバがロムリアに向けて旅立つ時間が迫って来た。そこでタチアナは一度自室に戻り、持って帰る荷物を再度確認した。特にヴェレニエラ王女と最神玲と物部かすみの召喚で使用する血液は重要なため、破損させないように細心の注意を払うことは忘れない。そしてタチアナは、1階に全ての手荷物を持って降りてきて、その場でヴェレニエラと神室霊華に別れの挨拶をした。


  「ヴェレニエラ王女、必ず来年のこの時期に

   ロムリアに召喚しますので、

   それまでお待ちください!」


とロムリアの最上級の礼で別れの挨拶をした。ヴェレニエラも


  「はい、玲さんとかすみさんと

   3人で心待ちにしております!」


と笑顔で返事をしてタチアナへの餞別とした。とその時、エンペラールが何かを思い出しように「あっ!」と大声を上げた。何か忘れてたことでもあるのかとタチアナがエンペラールに尋ねると


  「ねぇねぇ、セラちゃん。

   カースってどうなったの?」


カースとは、一緒にロムリアから玲が召喚したもう一人の大臣であるカステリアルのことである。


  「カステリアル大臣も、私と一緒に

   今日ロムリアに戻られますよ。

   先生覚えていらっしゃらなかったのですか?」


とタチアナはエンペラールに事前にそう伝えたけどな、と少し不満気な表情を漂わせてそう答えた。一方のエンペラールは、その話は今初めて聞いたけど、とこちらも突然その話をされて不服そうな表情を湛えながらタチアナを見つめていた。だが何れにしても、2人が帰還するということは分かったので、エンペラールは、


  「もう、分かったわよ。じゃあ、

   残るのは私だけなのね~」


と不満を口にしつつも、それでも自分独り残ることに何だか嬉しそうな表情でそう呟いた。これは捉え方によっては、自分を監視する人が居なくなってこれで自由に暮らせるぞ、と思われなくもない。そんなエンペラールの態度に苦笑を交えながらタチアナは


  「レイ君、先生のこと宜しくね。

   それと絶対にロムリアに帰してくださいね!」


と釘をさすことは忘れなかった。エンペラールは口を尖らせながら、


  「もう、そんなこと当たり前でしょう!!」


とタチアナに文句を垂れたりした。そんなエンペラールもタチアナがいないと寂しさを感じてしまうようで、タチアナの召喚が解除されてから別荘に戻って直ぐに、暫くの間1人で部屋に閉じこもっていたりしたのだった。



 さて話は戻って、玲はタチアナとエンペラールを伴ってパリの旧タチアナの別荘に転移した。するとそこには地球残留組がタチアナの帰還を見守るべく集まっていた。そして、カステリアルも既に帰還する準備を整えて3人が戻って来るのを待っていた。玲はカステリアルに近づき、殆ど応対することが出来なかった点を詫びた。それに対しカステリアルは


  「レイ・モカミ師。自分は全く気にしてませんよ。

   むしろ刺激的なこの世界に

   召喚してもらったことに

   大変感謝しております!」


と玲に感謝の言葉を贈った。カステリアルの顔は、心から満足した滞在であったことを物語る位に満面に笑みを湛えていた。しかも召喚した時よりもかなり日焼けしている。恐らく1日中外に居たことを容易に想像させるのだった。そして実際にカステリアルは、地球で様々な軍事訓練を見学したり参加したようだが、この話は本編には直接関係がないため詳細を伝えることはしない。だがロムリアの今後には大きな影響を与えるため、簡単に触れておくことにする。


 玲とエンペラール、そしてタチアナと別れてからのカステリアルは、地球残留組でロムリアの元軍人であったアルメラとグリミアムの案内の元、彼らの所属する国の軍事施設を見学した。ちなみに両名共に、階級は佐官クラスの上位で、現在はどこかのベースキャンプで司令官を務めているため、施設の見学などを簡単に要請できる立場にある。そしてカステリアルが先ず驚いたのは空軍の力であった。残念ながらロムリアには空軍もそうだが、空を飛ぶという発想がそもそもない。ただし一部の者達からはその必要性が指摘されており、実際には召喚術の転移門サーチを使うことである程度のことを把握することは出来るが、残念ながら召喚術師以外には理解できないため、自ずと限界が生じる。特に軍隊であれば、常時上空から戦況を確認することは極めて重要なのだが、幸か不幸か、ロムリアは建国以来外部からの侵略を受けていないため、軍隊は有っても実質的にはロムリア近郊の街や村を盗賊や猛獣などから守る守備隊程度になっている。


 だがここ数年、特に反ロムリアのテロ組織の活動が活発化しており、彼らがいつどこから現れてどこに向かうのかを知ることの重要性が増している。そのためには空からの監視は必要不可欠なのだが、そんな時に地球にて空からの監視活動をどのように行っているかを学んだのは一つの大きな成果であろう。なお偵察用のドローンなどの兵装は、軍事オタクのタチアナが幾つか持っているため、それを実戦に投入することは可能である。そしてカステリアルは、更に陸軍の兵装や編成、あるいは組織的な行動に関する講義を受ける機会に恵まれ、訓練を含めて徹底的にその辺のことを学ぶことに成功した。そしてこの成功のお陰で、反ロムリアのテロ組織は徐々に衰退していくように見えたのだが...


 さて、この話はここまでにしておき、重要な成果を手にしたカステリアルは、とにかくその表情からも見て取れるように、今回の地球召喚には大満足であった。そんなカステリアルに対し、エンペラールは


  「あら~、カース、何かご機嫌ですね~」


  「エンペラールか。お主は何か成果があったのか?」


  「当然! それはもう、ここに来て大正解でしたよ!!」


と何やら不穏な空気を漂わせながら会話を進めている。実はこの2人、ほぼ同じ時期に大臣に昇格した、ロムリアにおけるエリート中のエリートである。そのためか、お互いをライバル視しているようで、それが今の会話にも反映されたのだった。そして何時ものように、2人の間にタチアナが割り込んで


  「2人とも、ここは地球ですよ。

   お話しするのであればロムリアに

   帰ってからにしてくださいね!」


と仲裁に入るのだった。この時恐らく誰もが思うであろうが、タチアナことセラスティナが地球に不慮の事故で転移して行方不明になっていた期間、この2人は一体どうしていたのかと言うことを。実は幸いにも、お互いにセラスティナの行方不明に関しては当然知っており、そのために敢えてこのような事にならないように注意していたのだった。ではそのままの関係を続ければ良いのだが、やはり2人とも何かしらセラスティナに対する甘えと言うか、あるいは今までの鬱憤(うっぷん)を晴らしたいのか、現在は昔のような事ある毎に嫌味を言うような関係に戻っていたのだった。


 さてタチアナは、このような2人に振り回されながらも、地球残留組からメッセージとロムリアに残る家族や友人達へのプレゼントを渡されて、それを一つ一つ確認しながら鞄にしまい込んだ。そして全員分を受け取ったところで、タチアナは


  「では皆さん、私はこれでロムリアに戻りますね。

   また2年後かな、会えるのを楽しみにしております!」


と別れの挨拶をした。続けてカステリアルも地球での思い出を語りながら挨拶を行った。そして


  「じゃあ、レイ君、お願いね」


とのタチアナの言葉を受けて、玲は召喚を解除しようとした。とその時、


  「あー、間に合った!!まだ帰ってへんかったんやね!」


とかすみの声が耳に届いた。そしてタチアナが


  「カスミさん! 丁度今帰る所だったんだよ!」


と声を掛けると、かすみはタチアナに抱きついて「有難うございました。来年お願いしますね」と玲の通訳を通じて伝えた。すると


  「そうそう、2人の婚前旅行だもんね。

   部屋は同じでいいかな?」


と言う始末である。これにはかすみは顔を赤くしながら拒絶するが、タチアナは聞いてないフリをする。そして


  「遅くなるといけないから、レイ君お願いね」


と言うことで改めて玲が「召喚解除」と宣言すると、タチアナとカステリアルの姿がその場から消えて行った。


  「帰っちゃったね」


  「うん、無事に帰ったと思うよ」


何か寂しいな、とかすみは呟くが、それはここに居る全員の思いでもあった。


  「じゃあ、エンペラールさん、

   僕らも戻りましょうか」


と言うことで、玲とかすみとエンペラールは、地球残留組に挨拶をしてから日本に戻って行った。

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