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幕間  この時代についての説明

フェレティアは、長い寿命を持つエルフ族である。


しかし、この時代。


中央平原に暮らす者の多くは人族であり、エルフ族をはじめとした他種族が人族の国へ積極的に関わることは、まだ珍しかった。


そして人族は、この頃、大きな変化の中にいた。


かつて、人族を導いていたのは龍族だった。


原初の時代。


龍族は人族に家の建て方を教え、畑の耕し方を教え、集落を作り、そこで暮らしていくための知識を与えた。


やがて集落は町となり、町はいくつも集まって国となった。


そして龍族が王となり、人族を導いた。


その時代は長く続き、大きな争いの少ない、平穏な時代だったという。


しかし、いつまでも龍族が人族を導き続けるわけではない。


創造神の計画のもと、龍族は少しずつ統治から離れ、人族へ王権を譲っていった。


人族は初めて、自分たち自身で国の未来を決めることになったのである。


そして、もう一つ。


この時代には、後の時代とは大きく異なる特徴があった。


魔物がほとんど存在しなかった。


この時代より、およそ400年前。


ある偉大な錬金術師の手によって、魔物と、魔物を生み出す瘴気が中央平原から浄化されたためである。


長きにわたって人々を苦しめてきた魔物という脅威は、ほとんど姿を消した。


それは、人々にとって喜ばしいことだった。


しかし――。


皮肉なことに、共通の脅威が消え、人族が自ら国を治めるようになるにつれて、今度は国と国との利害がぶつかるようになった。


豊かな土地が欲しい。


資源が欲しい。


交易路が欲しい。


より大きな国を作りたい。


自らの国を守りたい。


理由は国によってさまざまだった。


そうして、人族の国同士が争う時代が始まった。


戦争で功績を立てた者は貴族として取り立てられ、軍を率いる地位へ上る者もいた。


強い将軍を得た国は領土を広げ、国力を増していく。


反対に、戦争に敗れれば領土を奪われ、国そのものが滅ぼされることさえあった。


時代が下るにつれ、争いの規模はさらに大きくなった。


やがて、一万を超える軍同士がぶつかり合うことさえ珍しくなくなった。


そんな時代に、人族の王たちが何よりも欲したもの。


それは――。


戦争に勝てる将軍だった。


優れた将軍を得た国は栄える。


失えば衰える。


時には、一人の将軍の存在によって、国の運命すら変わる。


それが、この時代だった。


後世、この時代はこう呼ばれることになる。


――大争乱時代。


フェレティアが生きたのは、そんな時代だった。


そして、この大争乱の時代を生きた者は、彼女だけではない。

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