↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/50

7.手掛かりを調査

 一花(いちか)の遺書には何も書かれていなかった。あとは、手掛かりになりそうなものは……鞄の中を全部ひっくり返すと、中からスマホが出てきた。これには個人情報がぎっしり詰まっている。手に取ると、指紋認証であっさりと開いた。


「……見ていいのか?」


 またしても迷う。でも、これからこの体で生活していくなら、嫌でも使うようになる。

 まず、時刻と日付は今日で間違いない。どうやらアニメのようにタイムスリップまではしていなかった。

 そして、罪悪感を感じながらメッセージの中身を開いてみる。


「……」


 最後のメッセージは昨夜の母親とのものだった。帰りが遅くなるので戸締りをして、先に寝ててといったやり取り。

 友人とのメッセージは――三ヶ月くらい前を最後で止まっている。何やら、返事をちょうだいといった内容。


「なんか、無視されてる?」


 予想通り、いじめか。

 それまでのメッセージでは、遊びに行く予定などを交わしている。仲の良い友人はいたようたま、三ヶ月前までは。しかし、今は途絶えているようだった。返事が返ってきていない。少し辿っていくと、ごめんねと、一花の謝りのメッセージを見つける。何か友人を怒らせてしまうようなことをしたのか。


「一体、何があったんだ?」


 はじめは天井を仰ぎ、


「いい加減、出て来てくれよ。あの世の使者の御加世(みかよ)さーん!」


 と、叫ぶ。すると、


「はーい、ご指名いただきましたぁー」


 ポンッといった感じに突如現れた御加世――やはり、宙に浮いている。ごしごしと目を擦ってみるも、仕掛けはない。


「……ふざけたセリフで……キャバ嬢を呼んだつもりじゃないっての! 色々、この状況、説明してくれよ!」

「ちょっと、私も忙しくしてて疲れてるのよ。とりあえず、閻魔大王様には舌を引っこ抜かれなくて済んだわ、ハァ」

「閻魔大王様? マジでいるの? って、あの世の使者でも舌を引っこ抜かれるんだ? 何を嘘ついたワケ?」

「あなた、嘘ついたら閻魔大王に舌を抜かれるって、子供のウワサを信じてるのね? カワイイわねぇ。安心して、あの世に行っても舌は抜かれないわよ」

「別に信じてない! あの世があること自体も! ……信じなきゃいけない羽目になったけど。で、何を怒られたんだ?」

「あなたとあの子の、性別の取り間違えに決まってるでしょ。あぁ、怒髪天を衝かれたわ。どうしよ、もう次は失敗できないわ。昇進できなくなるぅー」

「それだよ、性別! 男女入れ替わり! どーなってるんだよ?」


 はじめは詰め寄る。そのまま、手を伸ばして透けてるのかどうか確かめたい。でも幽霊じゃないと言っていた。セクハラとか言われ出したら面倒なので止めておく。


「あぁ、やっぱりあなたは怒るのね、一花ちゃんと違って。というか、もう説明なしでいい? 閻魔大王様にも、さんざん謝って来たのよ。データの確認不足だったわ。なんせ、今回が初めての試みだったから。ちょっと慌てちゃったわ、あの子の決行が早くて……」

「それ、結局説明してるし。今回が初めてって……オレたち、実験台? そんでもって失敗したってのか?」

「言い方があれだけど、そうよ。謝罪は何度でもするわ。でも、何の実験かは本当に伏せるわ。……それより、聞きたいこと、知りたいことがあるんじゃないの?」

「……千歩譲って許すとして……この子、何で自殺しようとしたんだ? 遺書にも何も書かれてなくて。スマホのメッセージも、まだ全部読んでないけど、友達にシカトされてるみたいだ……やっぱ、イジメで間違いないか?」

「うーん、そうねぇ。私たちもこの世の人たち一人一人の日常を把握しているワケじゃないのよ。一花ちゃんに至っては、大体事前に調査済みだけど。まぁ、そこはあなたの力で、うまく乗り切ってちょうだい。そこも含めて、あなたたちを見守るのが、今回のあたしのプロジェクト」

「なんだよ、それ。ひどいの一言超して、もう呆れてきた。でも、イジメで間違いないんだな? せめて、誰が犯人か教えてくれよ」

「仕方ないわね、分かったわ。でも今日はよしてちょうだい、ギブ。また明日、データを確認後、知らせるわ。じゃ、おやすみなさぁーい」


 と、御加世は姿をスッと消した。


「ギブなら、何で出て来たんだよ……」


 結局、何も分からないままだったが、今後も繋がりはあるということで少しホッとする。が、すぐにモルモット的な存在にされていることに気づき、怒りが湧く。


「鎮まれ、オレ!」


最初によく話を聞かず、この子を助けると言ったのが悪い。でも、そうしないとこの子は自殺していた。はじめはベッドの上で悶々としながら転がり回る。そして、


「この子の命は助かった! それでいいんだ!」


 そうだ、余命一ヶ月と言われたていたのだ。それならば、どうせならば、誰かのために役に立って死にたい。


「ん?」


 余命一ヶ月……なのは、はじめの体であり、その体には今、一花が入っている。


「待て、待て待てっ」


 このままでは、一花の魂が……死んでしまう?


「ちょっ、あの世の使者の御加世さーん!」


 ギブの御加世はもう今夜は出て来ない。幽霊ではないので、ちゃんと夜は寝る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。