おままごと
「あっ!お母さん役はシーナね!」
「えー!私もお母さん役やりたい!」
「今日はシーナが最後だから、シーナがお母さん役!」
「じゃあ私はお姉ちゃん!」
「私は赤ちゃん!」
皆んなが楽しそうに役を決めていく。
リラは満足そうに私の手を握ると、教会の庭へ向かって走り出した。
「シーナ、お母さんなんだからちゃんとご飯作ってね!」
「はいはい。今日は何を作りましょうか?」
「シチュー!」
「パンも!」
「お肉もいっぱい!」
皆んなの無茶な注文に思わず笑ってしまう。
もちろん本物の料理なんて作れるわけもなく、木の枝や石ころ、草花を集めて「料理」を作っていく。
「できましたよー。」
「わーい!」
皆んなが目を輝かせながら集まってくる。
そんな何気ない時間が、とても幸せだった。
明日になれば、この子たちとも毎日は会えなくなる。
そう思うだけで胸が少し締めつけられる。
でも、泣かない。
私は笑顔で旅立つって決めたんだから。
そんなことを思いつつ、皆んなでおままごとを楽しむ。
一通り役を変えつつ楽しむと、リラも満足したみたいだ。
「ルークお兄ちゃんに挨拶しに行かないで大丈夫なの?」
リラの言葉にハッとする。すっかり忘れていた。
ルークとは、街でできた友達だ。
街の子たちは、孤児院には良い印象を持っていなかったようで、はじめて街に遊びに出かけた時は遠巻きに見られていて、話しかけてもあまり良い反応をしてもらえなかった。
でも何回か街に出かけて、街の外れの川や広場でチベットと遊んでいるとルークから声をかけてきてくれたのだ。ルークは街のガキ大将みたいな存在だったので、ルークと仲良くなってからは他の子たちとも仲良くなり、今では月に1〜2回は皆んなで遊んでいた。
「うわーん、リラ。すっかり忘れていたよ!ありがとう」
私の言葉にリラは苦笑いをしつつ、末っ子に気を遣われるなんて…と、切なくなりつつも、皆んなにごめんと謝って街に行く事にした。




