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一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし
一年生編

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56.ま、元々ぼっちだから慣れてるけどな

「ふぅ……」


 〈喫茶カントリー〉で、神崎さんと薫さんの三人で、楽しい時間を過ごした翌日。俺は、通学路を歩いていた。電車は乗り終えたから、後は歩けば着く。


 にしても、疲れた。あの後、コーヒーとイチゴのショートケーキが運ばれてきても、俺の上から神崎さんは、全く退こうとしなかったんだから。


 寧ろ、俺の身体に密着させてきて、終いには食べさせ合いっこして、散々だった。


 脳裏に、神崎さんの甘ったるい声音が、甦る。ただでさえ、膝の上に座られて、あたふたしてたってのに。ま、なんだかんだ楽しめたから良いけど。そんな事を考えていたら、後ろから肩をポンポンと叩かれる。


「……ん?」


 顔を後ろに向けると、頬に柔らかい感触が伝わった。視界には、華やかな笑みを浮かべた神崎さん。


「おはよう……悟」


 うん、前にもこんな事されたな。というか、神崎さん。何故に幸せを噛み締めてる感じで、言うんですか?


「おはよう。神崎さん」


 俺は、普通に挨拶を返す。


「……悟」

「どうしたの?」


 なんか、急に不機嫌なんだが。俺、なんか悪い事でもしたか?


「悟はさ、どういう時にときめくの?」

「は?」


 ときめく……? どういう意味だ? というか、言葉としては知ってるけど、俺は感じたことなんか、これまでないぞ。


「その……これまでに感じたことないから、分からないんだけど。神崎さんは、ときめいた事あるの?」


 俺が尋ねると、神崎さんが僅かにたじろぐ。


「それは、その……胸がギュッとなったり、鼓動が早くなる……みたいなものかな」


 はい? 今までそんな感覚味わったことないぞ。


「俺、今までそんな事感じたことないよ。神崎さんは、女の子だから……そういうの感じるんじゃない?」

「絶対違うからっ。私の場合、す……好きな、人がいるからっ。そう感じるんだもんっ」


 だもんって。でもそっか。神崎さんも、女の子なんだよな。好きな人がいても、当たり前か。


「神崎さんなら、その好きな人も、振り向いてくれるよ。だって、そんなに綺麗で可愛くて……他人から好かれやすい、性格してるんだからさ」


 その言葉を聞いた、神崎さんの頬が紅潮する。ん? 今おかしな事、俺言ったか?


「もう……、その好きな人が振り向いてくれないから、困ってるんだよっ」

「へえ、美人の神崎さんを前にしても、普通でいられるって、その人……かなり変わってんだね」

 

 ホント、俺はなんとか我慢してる。たまに勘違いしそうになるけど。でもそれくらいに、神崎さんは魅力に溢れている、素敵な女の子なんだなって思う。


 好きな人がいるって言うなら、俺と一緒にいないで、その人に時間を割けば良いのに。


「ま、神崎さんの恋を応援するよ。なにか、困った事が有ったら言って。一応俺も男だから、男目線の意見も必用になるとき有るでしょ? 俺なんかの意見が、神崎さんの悩みをすぐに解消してあげられるかは、分かんないけど……力になれるよう、頑張るよ」

「……悟が頑張らなくていい」


 は? あ、そう言うことか。端から俺には期待してないって事ね。


「分かった。とりあえず、行こうか? まだ時間に余裕は有るけど、早く学校に着いた方が楽でしょ?」

「うー、絶対分かってない」


 神崎さんに、何故か拗ねられる。俺は機嫌を損ねた神崎さんを、なんとか宥めて学校へと着く。


「……」


 なんか、周りの視線が気になるんだが。俺は周りに目を向ける。何人かと目が合うと、決まって相手の方から、目を逸らされる。中には逸らさずに、俺を憎悪の入り混じった目で、睨むように見てくる人もいる。


「悟、なにかやらかしたの?」


 心配げに、聞いてくる神崎さん。いや、俺はいつも通りで、何もやってないんだが。


 周囲の目を無視して、俺達は教室へ向かい入る。そして、その場にいたクラス全員が、俺へと目を向ける。なんなんだよ、いったい?


「悟、やべぇ事になってんぞっ」


 俺の元に慌てて、近寄ってくる太一。


「お前、賀東先輩とその友達を襲おうとしたって、噂流されてるっ」


 あー、そう言うことか。


「って事は、この後教員に呼ばれんだろうな」

「なに悠長な事言ってるのよっ。大変じゃないっ」


 忙しなく言う神崎さん。いや、そこまで慌てる事でもないんじゃないか?


「いや、だって俺……手もあげてないし、事実無根だから。それを伝えれば、分かってくれるって。騒ぎ立てた賀東先輩達に、確たる証拠が有るのかも、聞かなきゃか」

「でも、噂になってる時点で、そういうレッテルを貼られるんだよ」

「別に、周りの目なんて気にしてないよ」


 俺はそう言って、心配する神崎さんと太一を無視して、自席へと向かう。視界に映るクラスメイトが、俺を汚らしい物を見るように、視線を寄越してくる。


 ま、元々ぼっちだから慣れてるけどな。俺はその視線も無視して、席へと着く。さーて、これからどうなることやら。俺はそう思いながら、窓から見える外の景色へと、目線を移すのだった。


 

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― 新着の感想 ―
ずっと思ってたけど、強い!強すぎるこの男影野!
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