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一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし
一年生編

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41.まあ、神崎さんが嫌じゃなきゃ良いの……か?

「……なんなんだよ」


 昼休み。俺は机で突っ伏してぼやく。席替えをして、かれこれ一週間が経った。なぜか初日からクラス中の人達が、ちらちらと見てくる。


 まあ、理由はなんとなく……というか完全に分かってる。完全にやらかしたよな俺。いくら神崎さんと……まあ、俺が言うのも凄く烏滸がましいことこの上ないが、親しいからって流石に、それを教室でやるのは間違いだったな。


 男子からは、『ちっ、調子に乗りやがって』って思われ、女子からは『なにアイツ……キモい』とか、思われてんだろうなぁ。


「どうしたの悟?」


 右から神崎さんの声……って席が隣なんだから、当たり前だよな。俺は突っ伏していた顔を上げて、神崎さんを見る。なんでこの人はいつも、俺なんかに笑顔を、向けてくるんだろうか?


「いや、なんていうか……周りの視線が、痛いなあって」


 俺の、言葉に彼女が苦笑する。


「そうね。私も困ってるわ」


 マ、マジ? 考えてみりゃそうだよな。自分の事ばっかり考えてたけど、当然俺と関わってたんだから……被害も神崎さんにいく訳で


「ごめん。あの、いくら払えば許して貰えますか?」

「ちょっと、真剣な顔でそう言うのやめてっ……本気で言ってるのは分かるけど、お金とか取る気ないからっ!!」


 真顔で言い終わった彼女が、頬を膨らませる。ヤバいっ。怒らせてしまったみたいだ。


「……ごめんなさい」


 俺は、瞬時に神崎さんに身体ごと向けて、頭を下げる。


「そんな必死に謝らないで……怒ってないから」


 顔を上げると、バツが悪そうに困った顔で、俺を見る神崎さん。いや、そんな顔されても俺が困るんだがっ。


「そ、そうなの?」

「うん、むしろ私は女子達が……」


 そこまで言って、彼女が口を噤む。いやそこで止めないで。恐いんだけどっ。


「女子達が、どうしたの?」


 俺は、恐る恐る尋ねる。すると神崎さんが、むくれながら


「他の子が、悟の良さに気付かれてそうで……なんか、ヤダなって」


 あの、神崎さん。最初勢い良く、喋ってたのに途中から、小声になるの……やめて。しかも、頬が心なしか赤くなってる。きっと、恥ずかしいんだろうなぁ。なんで、そうなってんのかは、分かんないけど。


「俺の良さ? 別に良いところなんて、一つも無いと思うけど」


 だって、俺は俺の思った通りに、行動してるだけなんだから。ハッキリ言って、俺は自分勝手な人間だと、思う。そんな人間のどこに()()が、有るのだろうか?


「……そう言うところだぞ」


 ん? ジト目で、そんな可愛く言われても意味不なんだが……。そう言うところって、なにっ? 俺思った事、言っただけなんだけど。


「神崎さん諦めた方が良いぞ? 悟、自覚してねえから」

「おい。なに、しれっと入って俺の事、貶してんだよ太一?」


 いくら長年の付き合いとはいえ、普通に傷付くからな。


「ホント困ったものね。そこも、良いところだと思うけど」


 そんな眉を八の字にして、言われても困んだけど。


「っていうか太一」

「ん、どした?」

「石原先輩は、放ったかしで良いのか?」


 太一にとって、彼女なんだから。当然学校でも、一緒に居たいはず。


「ああ、大丈夫だよ。俺と愛ちゃん、学校ではイチャイチャしないって、決めてるからっ」


 満面の笑みで答える太一。どうやら両方の合意で、やってるらしい。まあ本人達が納得してるなら、外野がとやかく言う事じゃないか?


「あんま、彼女さんを泣かすような事……すんなよ」

「大丈夫だよ。それに俺が間違ってたら、悟が止めてくれんだろ?」

「まあ、そのつもりだけどさ」


 いや止める気だけど、そんな全幅の信頼を寄せてくるなよ。まったく、なんで昔から俺の事だけは、信じ切れんだか。


「ところでさ、いきなりで悪いんだけど、神崎さんのお店行ってみたいっ」

「は、はあっ」


 俺は、周りの目も気にせずに、大声を上げる。太一……お前、何言ってんだよ?


「愛ちゃんから聞いたんだ。なんか、家族でお店を経営してるみたいじゃん」

「だからってな太一」


 あー、これが陽キャのなせる技か。人の気持ちも考えずに、予定を通そうとする……ヒー恐ぇ。


「それって石原先輩も来るのよね?」

「迷惑だった?」


 太一の言葉に、神崎さんが首を振る。


「大歓迎よ。元々私から、先輩に話したことだしね」


 おっと……意外と乗り気、なのか?


「じゃあ、今日の学校終わったら行く……という予定で良いかしら?」

「ああ。俺も愛ちゃんも、今日部活休みなんだ。だから行けるぜ?」

「なら放課後に、校門前で集合して、行きましょう」


 なんかスムーズに話しが進んでるけど、特に俺が、でしゃばる事は無いみたいだな。


「よしっ決まりだなっ。久々だな。()と放課後どこかに行くの?」

「えっ」


 なにそれっ? 今の話の中に、俺入って無かったんじゃんっ。この一週間、神崎さんから〈喫茶カントリー〉に誘われなかった。もしかして彼女なりに、俺の事を気遣って……ってそんな訳無いか。


「一緒じゃ……ダメ?」


 神崎さん、俺に上目遣いすれば、言うこと聞いてくれるって、思ってるよな。別に断る理由もないし……まあ、神崎さんが嫌じゃなきゃ良いの……か?


「ダメじゃないけどさ」

「そっか、嬉しいっ」


 満面の笑みを、彼女が浮かべる。夏休みは終わったけど、花に例えるならヒマワリなんだよな。ヒマワリは見てて、心が温かくなる。それに、もっと頑張らなきゃって思うんだよな。


「なら決まりだなっ。放課後はそういうことでっ」


 太一の言葉を聞いて、俺は小さく溜め息を吐く。絶対この後、いろんな人に晒されるんだろうなぁ……かったりぃ。


 俺はそう思いながら、楽しそうにしている太一と、意外と乗り気な神崎さんを眺めるのだった。

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