40.やっぱり好きな人と、学校でも一緒とか……最高っ
今回はメインヒロイン視点です。
〈神崎燈side〉
どうしよう。今超~っ幸せっ。だって隣に悟が要るんだよっ。しかもこれからも、この状況がずっと続く……もう大満足っ。
今一限の授業が始まったけど、どうしよう隣に居て集中出来な~いっ。好きな人の隣に居れる事って、こんなに胸が高鳴るんだっ。
悟はどう思ってるんだろう? さっきの反応的に、なんか私と野呂君が近くに居るのを、あまり良く思って無さそうだったな。面倒臭いとか、思われてなかったら良いな。
私は隣の好きな人に目を向ける。彼はどうやら、真面目に勉強をしているみたい。私が隣にいるっていうのに、緊張しないなんて……流石ね悟っ!!
どんな時でも、心を乱さない。徹底してるんだよなぁ……好きだなぁ。ってイケないイケない。授業に集中しなくちゃっ。
――キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。やっと終わった~。ホント好きな人が近くに居るのに、色々我慢するとか凄く辛いなぁ。
でも、今は授業と授業の間の短い休み時間。話し掛けても良い時間。早速話し掛けよう。
「悟……」
「あ、神崎さんコレ」
話し掛けようとしたら、彼がノートを差し出してくる。これはどういう意味?
「なんか、授業に集中出来てなかったみたいだったから。板書抜けてる部分有ったら困るでしょ?」
あ、ヤバい。私の悟の好きな気持ちが、ドンドン大きくなっていって、困っちゃう。悟って授業に集中してても、周りちゃんと見てるんだぁ……超好き。
「あ、ありが、とう」
私はしどろもどろに言いながらも、ノートを受け取り、自分のノートと見比べる。あ、悟の文字ってこんな丸っこいんだぁ……なんか可愛いっ。
「神崎さん」
「どうし……」
どうしたの? って言おうとしたけど、途中で言葉が止まる。だって、私のおでこに悟の手の平が、来るなんて……聞いてないんだけどっ。
「うん、熱はないな。ぼおーっとしてるから体調悪いのかなって、思ったんだけど」
どうしよう……。隣の好きな人が、めちゃくちゃ優しいっ。なんか恥ずかしくて、目を瞑りたい。
あぁでも、ノート渡されたんだから集中しなくちゃ。けど板書し忘れた部分無いんだよなぁ。だから、せっかく渡されたけど意味ないんだよなぁ。返さなきゃ。
「悟、これ返す……ねっ」
彼に顔を向けてドキッとして、息が止まる。か、顔が近いっ。あ、悟の睫毛って割と長いんだぁ。それは知れて嬉しい。
「神崎さーん。なんか息止まってるけど、大丈夫?」
「……っ。だ、大丈夫っ。大丈夫だからっ」
悟に言われて、それまで止めていた息を再開させる。危ない危ない。あやうく、幸せすぎて昇天するところだった。
ホント、悟は無意識にやってるけど。私の事グイグイ攻めてるんだよなぁ。私もう惚れてるから、キュンキュンするしか無いんだけどっ。
「調子悪いんだったら、保健室でも行く?」
あ、この顔好き。心底心配してるのが、伝わってくる程、眉を下げて……目もいつもより、真剣味帯びてて。心がホクホクする。
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だから」
「そっか」
あ、滅多に学校じゃ笑わない悟が、笑ってる。それ自体、超嬉しいけど……ここで笑っちゃダメでしょ。他の人も居るんだよ。注目されるじゃんっ。
「ねぇ、あの影野が笑ってる」
「そうね。いつも、気持ち悪いって思ってたけど。案外」
あぁほら言わんこっちゃない。これ、後でクラス中に広まりそう……イヤだなぁ。
「悟と神崎さん。楽しそうなのは、大いに結構だけど……大分目立ってんからな」
控え目に注意してくる野呂君。
「ん? 太一、別に俺は楽しくない。というか普通のやり取りだろ」
「お前等が喋ってんのが大分注目されてんだよ」
「……あー」
野呂君に言われて、悟がバツの悪い顔をする。心なしか、顔も赤くなってる気がする。ホント、ここまで無意識とか逆に凄いよね。
「太一……時を巻き戻すことは出来ないか?」
「悪いな。ここにはスタンドっていう概念もねえし、タイムマシンとかねえんだよ」
あ、顔を両手で覆って隠してる。めちゃくちゃ、後悔してる。可愛すぎて、頭撫でたいっ。
「悪い……夏休みでのやり取りが、抜けてねぇな」
「というより、悟。お前が神崎さんの事、仲間として認めたんだろ」
「……っ」
凄い勢いで、覆ってた手を解いて反論しようと、野呂君を見る悟。でも反論の言葉が浮かばないのか、口をパクパクさせてる。これも可愛いなぁ。
「認めろよ。今反論出来ないのが答えだ」
「そ、その通りだけどさっ」
あ、子供っぽくなってる。いろんな悟を知れる。隣に席になって良かった~っ。
「そろそろ次の授業だなっ」
そう言って、机の横に掛けられてる鞄から、次の科目の教科書と、ノートを取り出す。
「あ、もうこんな時間か。二人とも。とにかく、注目されたくないんなら程々にな」
そう言って、野呂君は正面を向く。私は悟に目を向ける。目は教科書に集中してるけど、頬がプックリと膨らんでる。これ、むくれてる……拗ねてるって事だよね?
「あはっ」
「ん?」
突然笑い出した私を横目で、悟が訝るように見てくる。あぁもうダメ。
「拗ねてる悟、可愛い~っ」
私はそう言いながら、膨らんでる頬を人差し指で軽く突く。指に柔らかい感触が伝わる。ヤバい、いつもより柔らかくて、もっと突きたい……でも我慢しなきゃ。
「……っ」
悟の頬が一気に朱に染まる。ホント何回可愛いって、私に言わせるのよ。
「私も、授業の準備しなきゃっ」
私は意識を悟から、次の授業に切り替える。
「……はぁー」
あ、また両手で顔を覆ってる。これ、恥ずかしがってるよね。だって耳真っ赤だもん。
あ~やっぱり好きな人と、学校でも一緒とか……最高っ。
私は悟を見て、微笑ましい気持ちになりながら、そう思うのであった。




