表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし
一年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/43

37.いつもより大胆なんだよな

「フン、フン、フ~ン」

「……」


 学校での日程を終えて、俺と神崎さんは帰路に就いた。隣では彼女が鼻歌を歌っていて、いつになくご機嫌の模様。


 俺は俺で、恋人繋ぎをされているから、周りからの視線に必要以上に、過敏になっている。神崎さん、出来れば手を離して欲しい。けど


「はぁ」


 俺は、横にいる神崎さんの蕩けんばかりの笑顔を見た後、雲一つ無い快晴の青空に目を向けて、溜め息を吐く。


 こんな幸せそうな顔をしている人に、言えるかよ? いや、言えねえな。


 それに言ったところで、神崎さんの機嫌が損なわれた上で、この状態は解かれる事は無いだろう。


 というか俺自身、この状態に慣れてきてるんだよなぁ。いつからだっけ? 恋人繋ぎ以前に手を繋ぐようになったのは……あ、俺がなんかヤベー男に殴られた時だ。


 あれから、やたらとスキンシップが増えて、気付いたら恋人繋ぎされてたんだよなぁ。全く、俺だから良かったけど。普通の男子なら、この子俺に気があるんじゃね? って勘違いするからな。


 まあ、俺は勘違いしないけどさ。生まれてこの方、モテた事も無いし、モテようとも思ってない。というか、自分にそこまでの()()が有るなんて思ってないから。


「悟、どうしたの?」


 俺を見つめてくる神崎さん。あー止めてくれ。そんな円らで、しかもサファイアのように輝かんばかりの青い瞳で俺を見ないでくれ。眩しくて敵わない。


「あ、今度は下向いた~っ」


 顔を俯けた俺を神崎さんが面白可笑しく言う。別に、こんなの誰がやっても面白くないと思うんだが……。


 前に進もうとしていた足が止まる。理由は簡単。神崎さんが手を繋いだ状態で、立ち止まったからだ。そりゃ前に進もうとしても、進めないよな。


「むぅ。悟が私を無視する」

「えっ」


 俺は慌てて振り返る。視界に入ったのは、頬をリスのように膨らませた神崎さん。その表情、あざと過ぎだろっ。


 ていうか今のって、無視に値するの……もう分かんない。女心ってのが全く分かんねぇ。


「悟なんか言ってよ」


 あぁ、なんか見る見る不機嫌になってる。どうしよう。授業で習った内容じゃ、こんなこと教わった事ねぇぞ。全く……困るね、先生っ。こういった時の対処の仕方を教えといてくれよ。


「あ、えっと……ごめんなさいっ」


 こういう時はアレだアレ。男女の間で喧嘩が勃発したときは、男が先に謝るものって、太一が言ってた気がする。なので俺は謝る。顔を見るのが若干怖いので、目を瞑る。


「……ぷっ」

「?」


 数秒の沈黙が、俺達の中で生じた後、突然神崎さんの吹き出す声が聞こえる。


「あは、あはははっっっ。そんな必死に、謝らなくても良いのに……ていうか、何か言ってって催促しただけで。私、怒ってないからね」


 そう告げた神崎さんは、可愛らしい桜色の小さな舌を、ぺろっと見せてくる。


「……」


 その光景に、俺は固まる。なんで固まったのかって? そりゃ、銀髪碧眼美少女のそんなあどけない姿見たら、固まるなって方が無理だろう。うん無理だっ。


「ん~悟るぅ、どうしたの? 耳まで真っ赤にして~。恥ずかしくなる要素有ったぁ~?」


 互いの息が、顔に触れ合う距離まで、神崎さんが迫ってくる。ドクドクッと、さっきまで正常なリズムの鼓動が、急激に加速する。え、なにこれ? どうしたら良いのっ、教えてくれよっ先生ーっ。


「耳まで真っ赤にして、可愛いんだから~っ」


 そう言って、空いてる手で俺の頬を撫でてくる。なんで、そんな幸せそうな顔してるんだか。


 というか夏の時から思うけど、神崎さん……いつもより大胆なんだよな。


 なんでそうなったんだ? ああそうか。夏は人を、開放的な気分にさせるって、言うしな。はいQED。


「いっぱい楽しんだし、早くママの所行こっ?」


 可愛らしく首を傾げながら、神崎さんが言う。同時に頬から、彼女の温もりが離れていく。


「……」


 おい、何を少し寂しがってるんだよ俺っ。


「どうしたの? もしかして、もっと撫でて欲しかった~っ?」


 そう言って再び、俺の頬に手を沿わせようとしてくる。


「な、撫でてなんか思って……ない」

「むぅ連れないな~。そんな所も良いんだけどねっ」

「早く薫さんのお店に、行こうよ」


 俺はそう言って神崎さんの手を引っ張る。


「あらあら、まぁ、関係性を急激に返るのは無理よね」


 彼女が発言した内容は、聞こえたけど無視だ無視。


「そんな事より、〈喫茶カントリー〉……薫さんの会いに行こう」

「うん、いこっ」


 俺達は、快晴の青空を上に、歩き出す。以前だったら一人で帰っても、何も感じなかった。でも今は違う。神崎さんと関わるようになって、昔より笑う事が増えた気がする。


 それもこれも、神崎さんのお陰なのか。貰い過ぎてるな。いつの日かお返しをしないと。


 俺はそう考えながら歩く。繋がれている神崎さんの柔らかいて、細長い指の感触を、味わいながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これでも勘違いうんぬんだと思ってしまっている悟君…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ