表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし
一年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/39

34.悟は私から離れたら駄目っ

「悟、おはよ~っ」

「……おはよう」


 夏休みを終えて、学校初日。体育館で始業式が行われるから、俺は早めに来て待機していた。人が少ない内に、自分の居場所は確保しとかないと。


 結果的には人でごった返して、もみくちゃになるけど、問題はそこじゃない。早めに来て自分の居場所を確保するか、遅めに来てもみくちゃになりながら、自分の居場所を確保するか、そのどちらが楽かって話だ。


 俺は楽を求めて早めに来て待機する事を選んだ。まさか、神崎さんも早めに来るタイプだとは思わなかった。


「ふふっ」


 神崎さんが俺を見て、笑い出す。俺今笑わせるような事したっけ? 俺が疑問に思いながら見ていると


「悟だったら、早く来てるだろうなって、思って早めに来たけど……思った通り居てくれて、嬉しくなって笑ったのっ」

「……っ」


 おふっ。朝から眩しい笑顔を、俺に向けるのは止めてくれっ。っていうかあの花火大会から、ナチュラルに悟呼びなんだよなこの人。


「おい、アレ」

「なんで、あの二人仲よさそうなの?」

「クソッ。神崎さんは、非モテ地味陰キャが好きなのかっ」


 なんかあらぬ所から、羨望と妬みの言葉が飛び交ってるんだが。いや、当然そうなるよね。


 だって、学校一成績優秀スポーツ万能で、しかも飛び切りの美少女が、こんな地味な人間に話し掛けてたら、いやでもそういう話題は出るよな。


 でも、皆……もう少し、オブラートに言ってくれないか。いやその前に、本人達の居る前で堂々と言わないでくれ。


「神崎さん、離れた方が良いと思うよ」


 俺はやんわり伝えて、彼女から離れようとする。俺が離れようとするのを見て、神崎さんは俺の手をギュッと強く掴んで


「……むぅ」


 と唸る。おっと……なんでか分からないけど、神崎さんご機嫌斜めみたいだ。今のどこに、機嫌を悪くさせるみたいな所が有った?


「悟は私から離れたら駄目っ」


 そう言うと神崎さんは、俺を引っ張る。気付いたら、俺は神崎さんの身体に、すっぽり埋まるような形になっていた。


 それを見た周りの生徒達が、(ざわ)つきだす。おいおい、止めてくれ。俺はこれ以上、目立ちたくないってのに。更に被害が広がるじゃんかっ。


「おーおー、俺達以上に熱いじゃねーの?」

「ホント。見ててこっちが、胸焼けしそうなくらい」


 声のする方へ目を向けると、太一と石原先輩がいた。仲睦まじく腕を組んで。


「太一おはよう。石原先輩、おはよう御座います」

「おはよう」

「こんな状況でも律儀ね。おはよう」


 二人は、楽しそうに挨拶を返してくる。


「あのぅ。出来れば二人とも、助けて欲しいんだが」


 俺がそう告げると


「諦めろ。悟」

「そうね。助けたら燈ちゃんに、嫌われそうだから。無理」


 そ、そんなぁ~っ。


 背後にいる神崎さんが俺の腹部をギュッと両手で掴みながら


「言ったでしょう? 悟は私から離れたら駄目って」

「わ、分かったよ。離れないからせめて……後ろからの抱擁は、解いてくれない?」

「だ~めっ」


 神崎さんが甘い声で駄々を捏ねる。


「いやでも流石にこれは……」

「ダメダメッ。だって悟、めっちゃくちゃ抱き心地が良いんだもん。今日ずっとこうしてたいくらいっ」


 そう言って神崎さんは、俺の肩に顎を乗せてくる。女の子特有の香りなのか、分からないけど甘い匂いが、俺の鼻腔を擽る。


 というか、今背中に神崎さん身体を押し付けてるんだよな。途端に意識が背中に向く。当然背中に伝わる感触にも向くわけで。俺は如何わしい気持ちに、なりかけている自分に叱咤する。


 駄目だぞ俺っ。このまま流されて、ずっとこの状態で周りに晒されたら、この先の高校生活……死ぬ未来しか見えない。


「どうしたの? あっ、耳真っ赤になってる。悟、可愛い~っ」


 神崎さんはそう言いながら、俺の耳に自身の頬をスリスリさせてくる。それを見た周りの生徒達がまた騒つく。


「神崎さん、流石に皆に迷惑掛けるから」

「え~迷惑ぅ? 周りとか関係ないじゃんっ」

「いやその……周りに晒されてる俺の気持ちも考えて」

「むぅ。じゃあ、二人っきりだったら……もっとギュッてしていい?」


 くっ。耳元で甘えるように、そんな事言われたら……断れる訳ねえだろうがっ。


「う、うん。ここじゃなかったら、沢山……ギュッてして良いから」

「言質取ったからねっ」


 嬉しそうに耳元で囁いて、回されていた神崎さんの腕から、力が抜けていく。ふぅ。やっと、この地獄から解放される。


「……じゃあ最後に、カ~プッ」


 と言うと次に、ずっと間近に聞こえていた耳に、甘い刺激が襲ってきた。俺は驚いて神崎さんから離れる。そして噛まれた耳に手を当てながら、神崎さんに振り返る。彼女は満面の笑みを浮かべて


「ご馳走様でしたっ」


 いや神崎さん……アンタ、なんてことをしでかしてんだっ。


 俺は、今の光景を見た周りの生徒達の騒めきを聞きながら、今後の高校生活は大変だなと、俺は始業式初日にして苦悩するのであった。


 まあ、俺もある意味で良い思いしたし、神崎さんも楽しそうだし……良しとしますかっ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ