表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

俺はどうやら神崎さんの中でエッチな子という認識なんだな

 公共更衣室で着替え終えた俺はビーチバッグからタオルを取り出してそれからそのビーチバッグを有料ロッカーに入れて外へ出る。


 神崎さん達が居るレジャーシートに着くと各々準備体操をしていた。なに……これから本格的に泳ぎ出すとか言わないよな。ねえ、言わないよね。頼むから言わないって言ってっ。


 俺は無言で準備体操をしている神崎さん等の表情を伺う。三人の目が血走っていた。いやいや何そのこれからガチだからみたいなムード。ここ海だよねっ。俺は太一に近付いて尋ねる。


「おい、なんなんだよこのやる気ムードは?」

「なんか流れで誰が一番早いか競うことになった」

「なったじゃねえよ。別にそんな事しに海に来たわけじゃねえだろ。浮き輪とかビーチボールあるんだし普通にそっちで遊べば良いだろ?」


 俺がもう決定事項のように言う太一に呆れ顔で言うと


「悟……男には避けられない時があるんだ」


 それ自分より強い男相手にしたとき輝く言葉な。俺は諦めてレジャーシートに腰を下ろす。そして下に着ていたダクディスブルーのサーフパンツのポケットに手を入れる。


 今の俺はダークディスブルーのサーフパンツに白のフード付きパーカー型ラッシュガードを身に着けている。


「悟君はやらないの?」


 首を少し傾けた……言うなればあざとい顔の角度で問い掛けてくる石原先輩。凄いな。自分の魅せ方を徹底的に熟知してんのか……俺には出来ねえわ。


「俺はここで待ってます」

「あらそう。もしかして泳げないの?」


 意地の悪そうな笑みを浮かべる石原先輩。この人さっき見て思ったけど相当腹黒いんだろうなあ。ったく、太一(アイツ)はなんでこんな面倒臭そうな女を気に入ったのかね?


 あ、太一の前では猫を被ってたのか。女も女でイケメンを彼氏に持つのは一種のステータスなんだろうな。


「大丈夫よ影野。私は影野が泳げなくても見捨てないし離さないからっ」


 神崎さん。なんか凄く良さげなこと言ってるけど俺泳げるからね。まあ勝手に勘違いしてるんならそれでも良いか。


「とにかくそう言うことだから俺はここに居るよ」


 そう言って俺は眼前に広がる大海原を眺める。寄せては返す波の音、一面に広がる青の途轍もない質量の光景に俺は圧倒されると同時に感動してしまう。


 確か地球は97~98パーセントが海水でその総量は約13億~14億だそうな。地球の表面積の約7割が海で覆われているという話だ。


 なぜこんなにも胸が込み上げるような思いに駆られるのかは分からない。久々に海に来たからだろうか? そう言えば海に来たのはいつ振りだろう? あれは保育園、()()()()()()()()()()()()だった時だったかな。


 神崎さんは俺の過去()を知らない。まあそもそも俺が話す気がない。誰かに聞かれれば必ず決まって言うから。


――辛かったねぇ、苦しかったねぇ、って。


 人間はどういう分けか自分の知っている他者の苦労話を聞くと、取り敢えず相手と同じ気持ちに持っていくようにする習性、いや心理学が有るらしい。


 ――他者の感情や視点を理解し、それを自分のことのように共有・感じる能力。ぶっちゃけ言えば不幸な人間を慰めれば私は他の人とは違うとマウントが取れる。


 はっきり言って自己満足であり、俺からしたら良い迷惑だ。俺としては当時は放っておいて欲しかった。だから俺は他人との接触を極力避けていた。


 でも幼い頃()()()()がいつも言っていた言葉。困っている人が目の前で居たらたとえ嫌いな人でも助けなさい、と。だから俺は目の前で困っている人間は出来るだけ助けてきた。たとえ周りに嫌われようと。


 だけど俺の過去()を他者に教える気はない。太一は幼馴染みだから知っているけど、その他には教えるつもりはない。それで誰かに話してそいつから同情されるのが辛いからだ。


「ねえ影野」


  ぼうっと眺めていた俺に神崎さんは肩が触れるくらいの距離まで来られていた。神崎さん、普段ならいざ知らず、バンドゥビキニのせいで露出が激しい今男の子に密着寸前までの距離まで来るのは良くないと思います。


「何?」


 俺が尋ねると神崎さんはいたずらっ子のようにニヤニヤと笑ってレジャーシートに置かれている自身のタオルと背中に塗るのであろうオイルを出してタオルををレジャーシートの上に平らに引き俺の近くにオイルを置く。


 因みにそのタオルは神崎さんの胸から腿まで届くほどだから結構長い。


 そのタオルの上にうつ伏せになる神崎さん。だけど状態を少し浮かしている。一体なんだろうと思って見ていると


「影野~、私背中にオイルを塗って欲しいんだけど胸元のリボンにまで手が届かないから下から手を入れて解いてくれな~い?」


 甘ったるい猫撫で声で神崎さんは俺に無理難題を言う。いやいやムリムリ、異性と付き合った事もない俺にはハードルが高すぎるって。


「まあいつも家の店で食べてるじゃない。殆どタダで」

「うっ」


 それを言われると弱い。確かに神崎さんに料理を振る舞われてからというもの、俺は休日は殆ど〈喫茶カントリー〉で世話になっていた。


 最近は休日だけではなく平日もたまに食べさせて貰ってる。まさかここで今までの俺にしてくれた恩を武器に使われるとは。


「はぁ、分かったよ」


 俺はそう言って神崎さんの背中越しから胸元へと手を伸ばす。形で言うならバッグハグだ。女の子の間ではして欲しいことランキング上位だった気がする。でもこれ、やってみて分かるけどめちゃくちゃ恥ずかしいな。


 まず普段より大分密着してて、俺のバクバクと言っている心臓の音が聞かれていないか心配になるくらいだ。そして何よりバンドゥビキニのブラの前側のリボンを解かないといけないという特殊な状況。


 俺は恐る恐る神崎さんのバンドゥビキニに触れる。その間俺は頭の中で円周率を必死に数えて心を無にしようとした。


「影野のエッチ……そこ布越しとはいえ乳首を弄られたら、いくら私でも恥ずかしい」


 俺はその言葉を聞いて固まる。その間周りの声だけが俺の鼓膜に届く。子供や大人、老若男女様々な楽しげな声が聞こえる。


 そうか俺今、神崎さんの乳首を布越しとはいえ触っているのか。恥じらいを孕んだ神崎さんの愛らしい姿、声を目の当たりにして俺はもっと神崎さんを困らせたい欲に駆られそうになる。


 いやいや待てよ影野悟。お前みたいな奴がそんな公共の場でそんな事をしたら一発で人生終わりだ。今の状況でさえ危ういというのに。


 俺は取り敢えず今の両手の位置からリボンのある位置を予測して動かす。するとリボンらしきダランと垂れている布の感触が手にくる。


「これみたいだね。じゃあ行くよ」

「優しくしてね」


 神崎さん、その言葉は他の人が聞いたら完全に誤解する奴だからな。


 俺は神崎さんのバンドゥビキニのブラの前の部分のリボンをなんとか解き、それをそのままタオルと同じで下に敷いた状態にする。


「じゃあ後はオイル宜しく~」


 安心しきった声で歌うように言う神崎さん。よく恋人でもない俺に平然と素肌を曝け出せるよな。まぁ良いや、さっさとオイル塗って自分の仕事を終わらせよう。


「行くよ」


 俺はそう言ってオイルの入ってる瓶の蓋を開け適量のオイルを手に乗せる。そして神崎さんのミルクの柔肌に俺はオイルをなじこませるように神崎さんの肌に弱くもなく力強くも無くといった力加減で塗っていく。


「んっ、気持ちいぃ」


 神崎さん気持ちがるのは良いんだけど、あらゆる男を変な気分にさせる喘ぎに近い声を上げるのは一男子として神崎さんの事が心配。

 

 その後は淡々と神崎さんの背中を奇麗にしていった。流石に追加で手足もやってくれと言われるとは思ってなかったけど。


「これで終わりだよ神崎さん」


 俺がそう呼び掛けてもビクともしない。俺はしばらく彼女を見る。つい目が見てはいけないと思いながらもアクア色のビキニショーツに目が行ってしまう。


 布に覆われて隠されているものの、神崎さんは全体的に華奢だからお尻も小振りなんだろうなあ。俺今知ったよ。実は尻フェチなんだって。こんなこと絶対に本人には言えないけど。


「かげ~のっ」


 そう言いながら神崎さんは顔だけこっちに向けると片手で近寄るように手振りで知らせてくる。俺が素直に傍によると突然右手で身体を引き寄せられて俺の左耳が丁度神崎さんの口元に来る状態になる。そして耳元で


「影野……私の、小さくて自信ないけど……それでも良いなら塗る?」


 耳元で神崎さんに甘い声で囁かれて俺は固まる。いやいやそれはダメだろう。そりゃ男としては塗りたいっ。でも神崎さんとはそもそも友達になったばかりで恋人関係じゃないんだ。だから……ああでもっ。


 俺があたふたと考えていると神崎さんはいつの間にかバンドゥビキニのリボンを再度結んでうつ伏せから起き上がって俺と向き合うように座っていた。本当いつの間に結んだの? 神崎さんは頬を赤く染めながらはにかみ


「影野のエッチ」


 と優しく言った神崎さんはレジャーシートから抜け出して太一や石原先輩の元に戻っていった。俺は近くにあったオイルの入った瓶を手で弄びながらこう思った。


 俺はどうやら神崎さんの中で()()()()()という認識なんだなと。俺は太一達の元へ駆け足で戻っていく神崎さんの背中を眺めながらそう思うのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ