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一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし


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19,神崎さん、心から言わせて下さい

「影野は小さいのはイヤ?」

「えっ」


 唐突の発言に俺は耳を疑い思考回路が考える事を放棄しかける。だがそこは、意志の力で思考回路を無理矢理回す。


 小さい、小さいってのはどう考えても胸のことだろうか? しかしそれに触れるのは如何なものだろう。神崎さんが聞いてきたって事は胸が小さいのがコンプレックスって事なんじゃないか?


「……」


 神崎さんを見ると陽射しの陽光とは別の頬からくる赤みで顔と耳まで真っ赤にしてプイッと顔を逸らして、ぷるぷると恥ずかしさからか目をギュッと瞑ったまま震えている。


 どうやら心の中で思った事をそのまま呟いてしまったらしい。


 俺はその間に神崎さんの水着姿を確認した。アクア色の確か……バンドゥビキニって言う種類だったか? 


 バンドゥって言葉は確かヘアバンドや細いリボンって意味だったな。俺は失礼だと思いながら神崎さんの全身を眺める。いや、決して下心とかないからねっ。って誰に言い訳してんだ俺は。


 俺は神崎さんを眺める。眺めてるだけで何かイケない事をしてる気分に胸が駆られてしまう。俺はそれをグッと堪えて神崎さんを見る。


 青と緑の中間の色……アクア色の上下の水着。海の色は青色だけど、この色合いなら被って目立たないとかそんな事はないだろう。何より着ているのは銀髪美女なんだから目立つなって方が無理だ。


 にしてもこのバンドゥビキニ、凄いな。多分胸元で付けるというかリボン状にして結ぶタイプか。まさか神崎さんがこんなに大胆なのを着てくるとは思わなかったな。


 露出されたミルクのような肌。若干ほんのりと神崎さんから甘い香りが漂ってくる。いや待て、それは俺の錯覚ではないのか? 


 いやそんな事よりだ。モデル並みの高身長でミルクのような色の素肌。力をちょっと入れただけで簡単に折れてしまいそうな細い手足。適度に絞られているお腹。それで銀髪美女だって言うんだから世の中の野郎共は放っとかないだろうな。


 と、いけないいけない。ちゃんと神崎さんに聞かれた質問に答えなくちゃな。『影野は小さいのはイヤ?』だっけか? 


 う~ん、これは難題だぞ。俺はぶっちゃけどっちでも気にしないんだけど、それはそれであくまで俺の見解であってそれが神崎さんの求めてる答えになるのか分からない。下手したら傷付けてしまうかも知れない。


 ここでどう答えたら傷を付けずに済むのか。まあ、ちょっとベタだけどこの言葉しかないか。俺がそんな事を考えながら見ていたら、神崎さんの後ろから凄まじい勢いで走ってくる中学生くらいの男の子が見えた。


 どうやら前を見ながら走ってないみたいで、このままだと神崎さんに思い切りぶつかってしまう。


(……仕方ねえなあ)


 俺は神崎さんの手を摑み数歩左にずれる。


「ちょっ」


 神崎さんは俺のいきなりの行動に脳が追い付いていないようで、俺に身体を引っ張られる形になってしまう。俺が勢い良く引っ張った為に神崎さんの胸が俺の顔に押し付けられる状態になってしまう。水着の柔らかな布の生地とその奥から感じる布とは違う別の柔らかさが顔に伝わってくる。


「んっ……擽ったい」


 神崎さんは胸に当たる俺の吐息が擽ったいのか身を捩る。更に顔が押し付けられ様々な角度から布と布ではない物の柔らかさが顔に再度伝わってくる。


 耳に入ってくる神崎さんの擽ったさから来る喘ぎ声。その喘ぎ声は凄く甘く蕩けていて俺の耳を痺れさせる。神崎さん……ごめんなさい……そしてありがとう。


 俺は神崎さんの肌に触れないように注意しながら離れて神崎さんの顔を見上げ


「神崎さん。俺が好きになる人の条件で胸の大きいとか小さいとか関係ないよ」


 これが正解……というか俺が思っている事をそのまま伝える。確かに男というのは女性の胸の大きさに拘るものだ。特にデカければデカいほど良いと考えている馬鹿な男が多い。


 だがここで敢えて問いたい。胸がどれだけ大きかろうとそれは所詮()()()()なんだぞと。


 歳を重ねていくことに今まで張りやツヤがあった風船が徐々に目に見えて萎んでいくんだぞっ。だから俺は敢えて考えた。胸で何が大事なのかと。その結果答えが出た。それは……()()()さ。


 大きい胸程歪んだ形をしている。だけど逆に小さい胸なら歳を取って崩れる心配がない。世間の男共はお椀型だとか言うが、俺にとっての正義は貧乳(カタチ)だ。


 ウルウルとした瞳で見下ろしてくる神崎さん。


「影野……私これからも頑張るねっ」


 元気にそう言ってハグしてくる神崎さん。キュッと力が込められるがそんなに痛くない。寧ろ柔らかいし、女性特有の独特の甘い香りが鼻腔を擽る。


 俺は取り敢えず理性を必死に押さえ込みながら


「うん頑張って。いつでも力になるから」

 

 とそう言いながら俺は神崎さんの背中に腕を回して優しく硝子を割らないようにゆっくりとした手付きで触れる。


「……影野が頑張っちゃだめっ。これは私の問題なんだからっ」


 おっと怒られてしまった。乙女心というのは本当に良く分からない。だから長年非モテ陰キャなんだが。


「ねえ、太一君」

「何?」

「あれで付き合ってないの?」

「そうだぜ」

「なんだか見ていて胸がムズ痒いんだけど」

「糖分100パーセントだからなっ」


 なんか太一と石原先輩が好き勝手な事を言ってるけど無視をしよう。とにかく神崎さん。俺は口には出さないけど、俺は巨乳派か貧乳派で言えば貧乳はだよ。


「さあ。せっかく海に来たんだから楽しもう」


 俺はそう言って神崎さんを引き剥がす。だがそれが悪かった。


「あんっ」


 俺が神崎さんを引き剥がすために触れた場所がビキニのブラの部分で布越しに何か固い突起状の物を感じた。


「……っ」


 神崎さんは自分の知らない声が出てビックリしたかのように呆然としている。そしてみるみる内に顔を朱に染めて最後には両手で顔を覆い隠してしまう。そして蚊の鳴くような声で


「お願い……今のは忘れて」


 俺はそう言われて「うん」と声に出して頷いて着替えに行ってくる旨を三人に伝えて公共更衣室に向かう。


 神崎さん、心から言わせて下さい……ありがとうございますっ。


 俺は心の中でそう叫びながら向かうのであった。神崎さん約束したけど、衝撃が強すぎて忘れる事なんて出来ないよ。


 俺は真夏の太陽の焼き殺さんばかりに降りかかる強い陽射しの中公共更衣室に向かうのであった。

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