90 チーム分け
強い日差しの下。
砂浜には、にぎやかな声が響いていた。
「いくよー!」
千尋の声と同時に、ボールが高く上がる。
「任せて!」
七海が勢いよく飛び出す。
「え、ちょっ――」
バシッ。
少し不格好ながらも、なんとかレシーブ。
「ナイス七海ちゃん!」
凛が笑いながら声をかける。
「次いくよ!」
ふわりと上がったボールを、愛菜が落ち着いてトスする。
「凛ちゃん!」
「うん!」
凛が軽くジャンプして――
ぽん、と優しく返す。
「うわ、それズルいって!」
千尋が笑いながら走る。
砂を蹴り上げながら、なんとか追いつく。
「まだまだー!」
笑い声が、砂浜に広がっていく。
⸻
一方で。
背もたれを倒したビーチチェア。
小夜と優子は、ゆったりとした時間を過ごしていた。
「……いいわね、ああいうの」
優子がサングラス越しに眺める。
「若いって感じ」
小夜も軽く笑う。
「ですね」
「でも見てるだけでも楽しいです」
「でしょ?」
静かな、余裕のある時間。
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さらにその少し離れた場所。
蒼、太陽、三郎の三人は、砂浜に座りながらその光景を眺めていた。
「……なあ」
三郎がぽつりと呟く。
「この光景、普通に見てレベル高くね?」
「……まあな」
蒼が苦笑する。
太陽も小さく頷く。
「否定はできないな」
「だよな!?」
三郎がテンションを上げる。
「てか誰が一番――」
「やめろ」
「お前だけだ」
蒼と太陽が同時に止める。
「冷たっ!」
三郎が笑う。
⸻
「きゃっ――!」
そのとき。
凛がバランスを崩した。
砂に足を取られて、体がよろける。
「危なっ――」
愛菜がすぐに手を伸ばす。
凛の腕を掴んで、引き寄せる。
「大丈夫?」
「……あ、ありがとう」
少しだけ顔を赤くする凛。
その様子を、蒼は静かに見ていた。
⸻
「ちょっと休憩!」
千尋が声を上げる。
「暑すぎ!」
「賛成ー!」
四人がその場に座り込む。
息を整えながら笑い合う。
そして――
千尋がふと、男子三人の方を見る。
ニヤッと笑う。
「ねえ」
「そこの三人!」
三郎が反応する。
「え、俺ら?」
「そうそう」
千尋は立ち上がり、手を振る。
「見てるだけじゃつまんなくない?」
「混ざりなよ!」
「ビーチバレーやろうよ!」
三郎が立ち上がる。
「よっしゃきた!」
「待ってました!」
「いやお前さっきまで座ってただろ」
蒼がツッコむ。
太陽は小さく息を吐く。
「……まあ、いいか」
三人は立ち上がる。
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「じゃあチーム分けね!」
千尋が仕切る。
「え、どうする?」
「男女混合にする?」
「それがいい!」
七海が元気よく言う。
自然とメンバーが分かれていく。
蒼は凛と同じ側に立った。
反対側には、愛菜。
その配置に、ほんの少しだけ空気が変わる。




