83 海
夏の強い日差しが照りつける中、車は海沿いの道を走っていた。
窓の外には、どこまでも広がる青い海と白い砂浜。キラキラと光る水面が、まぶしく視界に飛
び込んでくる。
「うわー……!」
後部座席から、千尋の声が弾けた。
「海きたー!!」
三郎もテンション高く身を乗り出す。
「やっべ、めっちゃいいじゃん!」
「絶対楽しいだろこれ!」
そんな二人を見て、太陽は苦笑する。
「まだ仕事前だからな?」
「ちゃんと働けよ」
「分かってるって!」
三郎が笑いながら返す。
一方で――
凛は窓の外を見つめながら、小さく呟いた。
「……綺麗」
その横で、愛菜も静かに海を眺めていた。
「だね」
落ち着いた声。
けれど、その視線はほんの少しだけ、前の席の蒼へと向いていた。
蒼はそんなことには気づかず、運転席の方へ顔を向ける。
「すみません、優子先生。もうすぐですか?」
運転している優子が、柔らかく笑う。
「ええ、もうすぐ着くわよ、柏木くん」
「ちゃんと働いてもらうからね?」
「はい、もちろんです」
そのやり取りに、小夜がくすっと笑う。
「蒼くん、真面目だね」
「まあ、こういうのちゃんとやりそう」
助手席の小夜の言葉に、蒼は少し照れくさそうに笑った。
「いや、さすがにサボるわけにはいかないんで」
その様子を、後ろから七海が覗き込む。
「蒼先輩って、ほんとそういうとこ変わらないですよねー」
「ちゃんとしてるっていうか」
「褒めてるのかそれ?」
蒼が振り返ると、七海はにっと笑う。
「もちろん褒めてます!」
車内に、軽い笑いが広がった。




