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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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74 本当かも

蒼は少しだけ考えたあと、笑った。

「さあな」

「まだ俺にも分かんね」

昔なら、この質問に言葉を詰まらせていた。

だが今は、自然に笑って答えることができていた。

ふと、蒼は隣を見る。

小夜がそこに立っている。

どこか嬉しそうな顔で、こちらを見ていた。

蒼はふと思う。

(……小夜さんと出会ってからだな)

肩を壊したあの日のこと。

野球をやめたこと。

その過去を、少しずつ受け入れられるようになってきている。

そんな自分に、蒼は初めて気づいていた。

そのときだった。

七海がふと、小夜の方を見る。

「蒼先輩、この人は……?」

そう聞くと、小夜が一歩前に出た。

「黒崎小夜です」

にこっと笑う。

「京葉大の二年」

七海は少し驚いたように目を瞬かせたあと、慌てて頭を下げた。

「鳥谷七海です!総武学園三年です!」

そして、少しだけ蒼と小夜を見比べる。

それから、思い切って聞いた。

「蒼先輩とは……どういう関係なんですか?」

すると小夜は、いたずらっぽく笑って言った。

「蒼くんの彼女だよ」

「……え?」

七海の顔が一瞬で曇る。

しかし小夜はすぐに笑った。

「冗談、冗談」

「そんな顔しないで」

七海はほっとしたように息を吐いた。

小夜はその反応を見て、すぐに理解した。

(ああ、この子――)

蒼は苦笑しながら説明する。

「小夜さんは最近、大学で知り合って」

「木商のOGなんだよ」

「だから今日、母校同士の試合だからって誘ってくれたんだ」

七海は安心したように頷く。

「あ、そうだったんですね」

そして、ふと思い出したように言った。

「そういえば蒼先輩の代のときも、秋大会で木商とやりましたよね?」

蒼はその言葉を聞いた瞬間、小夜の言葉を思い出した。

――私、野球に恋してるのかも。

そして。

――あのときの蒼くんのピッチングにも。

蒼は少し焦りながら答える。

「……ああ、そうだな」

すると小夜が言った。

「私、その試合見てたんだよ」

七海が驚く。

「え?」

小夜は笑いながら続けた。

「そこで蒼くんに惚れちゃったの」

蒼はすぐにツッコむ。

「小夜さん、また冗談言うのやめてくださいよ」

七海は頬を膨らませた。

「もーう」

すると小夜は、少し真面目な声で言った。

「でも」

「……あのときの蒼くんのピッチングに惚れたのは、本当かも」

蒼は思わずドキッとする。

小夜は七海の方を見る。

「七海ちゃん」

「やっぱり蒼くんのピッチングってすごかった?」

七海の目が一気に輝いた。

「はい!!」

「蒼先輩めちゃくちゃかっこよくて!」

「ストレートもすごいし、コントロールも良くて!」

「ほんとすごいピッチャーだったんです!」

小夜は楽しそうに頷く。

「やっぱりそうだよね」

「私も衝撃だったもん」

二人は蒼のピッチングの話で盛り上がる。

蒼は困ったように言った。

「ちょっと……」

「本人の前でやめてくださいよ」

二人は顔を見合わせて笑った。

すると七海がふと思い出したように言う。

「そういえば」

「小夜さんは海の家行かないんですか?」

小夜は少し驚いた顔をする。

「え?」

「私は誘われてないから」

すると蒼が言った。

「よかったら小夜さんも来ません?」

小夜は少し驚く。

「え?」

蒼は続けた。

「優子先生にも、人はいっぱい誘ってくれた方が助かるって言われてるんで」

「全然大丈夫ですよ」

小夜は少し考える。

「でも……」

そのときだった。

七海が勢いよく言う。

「行きましょうよ!」

「絶対楽しいですよ!」

「ね!蒼先輩!」

小夜は少し笑った。

「……じゃあ」

「私も行こうかな」

どこか嬉しそうだった。

蒼は頷く。

「じゃあ二人のことは、俺が優子先生とか太陽たちに話しときます」

七海が目を輝かせる。

「太陽先輩も来るんですか!?」

「久しぶりだなぁ」

そして聞く。

「あと誰が来るんですか?」

蒼は答える。

「三郎って大学でできた友達と」

「大学でできた女友達二人と」

「あと愛菜」

七海の表情が、少しだけ固まった。

「あ……」

「あ、愛菜先輩も来るんですね」

小夜はその反応を見逃さなかった。

(なるほどね)

小夜はにやっと笑った。

そして七海に言う。

「七海ちゃん」

「かわいい水着用意しようね」

そして続ける。

「蒼くんに見せなくちゃ」

蒼は顔を赤くする。

「小夜さん……!」

七海も笑う。

三人の空気が一気に和やかになった。

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