73 次は?
「お久しぶりです!」
深く頭を下げる。
蒼は軽く手を上げた。
「おう、隅田」
「久しぶり」
「ナイスピッチングだったな」
隅田は少し緊張したように言った。
「どうでしたか?」
「僕のピッチング……」
蒼は少し笑う。
「見違えたよ」
「七海から試合前に聞いてたけどさ」
「春から一気に成長したって」
隅田の表情が明るくなる。
「ありがとうございます!」
蒼は続けた。
「特に右バッターへのチェンジアップ」
「あれはすごいな」
「全国でも、なかなか打てるやついないだろ」
隅田は照れくさそうに笑う。
「いえ……」
「そんな蒼先輩にそこまで言ってもらえて本当に嬉しいです」
「ずっと蒼先輩を目標に頑張ってきましたから!」
蒼は少し驚いたように目を細めた。
そして聞く。
「で、この次はどうすんだ?」
「このレベルならプロから声かかってもおかしくないだろ?」
隅田は首を振った。
「いや、自分なんてまだまだですよ」
「木商にも結局攻略されちゃいましたし」
少しだけ間を置いて続ける。
「でも……」
「大学から推薦もらえそうなんです」
「そこで大学野球やって、プロ目指します」
蒼は嬉しそうに頷いた。
「そうか」
そのとき隅田が、少しだけ遠慮がちに聞いた。
「蒼先輩は……」
「もう野球はやらないんですか?」




