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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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70/152

69 逆転

試合はそのまま中盤へと進み、気づけば7回裏。

スコアは依然として1対0。

木更津商業のリードのままだった。

だが、この回。

総武学園に初めて大きなチャンスが訪れる。

フォアボールとエラーが重なり、二死二・三塁。

スタンドがざわめく。

「お……」

蒼が小さく声を漏らす。

「今日初めて、ちゃんとしたチャンスですね」

小夜もグラウンドを見つめながら頷いた。

「二死二・三塁か」

「一打出れば逆転だね」

打席には六番打者が入る。

蒼はグラウンドを見ながら言った。

「ここが、今日の勝負所ですね」

小夜はちらっと蒼を見る。

「蒼くんさ」

「今までピッチャー目線の話ばっかり聞いてきたけど」

少し楽しそうに笑う。

「ここはバッター、柏木蒼の目線で聞きたいな」

蒼は少しだけ考えながら、マウンドのピッチャーを見る。

「このピッチャー……」

「初球、ずっと変化球でクサいところ投げてるんですよ」

小夜は頷く。

「うん」

蒼は続けた。

「でも今日は初めてのピンチですからね」

「こういう場面って……」

蒼の視線が鋭くなる。

「初球、ストライク欲しくなるもんなんですよ」

その瞬間だった。

――カキーン!!

乾いた金属音が球場に響く。

打球は鋭く三遊間を破った。

「抜けた!」

蒼が思わず声を上げる。

三塁ランナーがホームイン。

続いて二塁ランナーも一気に生還する。

「うおおおお!!」

総武学園のベンチが一斉に飛び出す。

スタンドの応援団も総立ちになり、大きな歓声が球場を包んだ。

逆転。

蒼は思わずスタンドからグラウンドを見つめる。

そのときだった。

総武学園のベンチの中で、ひときわ大きく喜んでいる姿が目に入る。

――七海だ。

飛び跳ねるようにして喜んでいる。

蒼の口元に、自然と笑みが浮かんだ。

それを横で見ていた小夜が言う。

「蒼くん、嬉しそうだね」

蒼は少しだけハッとして、視線を外す。

そして笑みを隠すように言った。

「……まあ、OBですから」

小夜はくすっと笑う。

「ふーん」

それから、少しだけからかうような目で蒼を見る。

「でもさ」

「バッター柏木蒼の読み、当たりだったね」

蒼はグラウンドを見ながら答えた。

「ピッチャー心理って」

「バッター心理にも応用できますから」

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