54/152
53 先制
試合は京葉大学の攻撃から始まった。
先頭打者が四球で出塁する。
ベンチから声が飛ぶ。
「ナイス出塁!」
続く二番打者は高く打ち上げた。
打球はライトへゆっくりと上がっていく。
ライトフライ。
これでワンアウト。
そして̶̶
三番打者として、太陽が打席に入った。
蒼はバックネット裏の席から、その様子を静かに見ている。
太陽は軽くバットを構え、投手を見据えた。
投手が振りかぶる。
インコースへ速球。
次の瞬間̶̶
乾いた音がグラウンドに響いた。
太陽のバットが鋭く振り抜かれる。
打球は三塁線を破り、そのまま外野へ転がっていった。
「回れ回れ!」
ベンチから声が飛ぶ。
一塁ランナーが一気にホームへ帰る。
太陽は二塁へ滑り込み、ツーベースヒット。
京葉大学が先制した。
スタンドからも小さな歓声が上がる。
蒼はその様子を見ながら、少し笑った。
(やっぱりさすがだな、太陽は)
試合はそのまま進んでいく。




