48 ペンギン
クラゲのエリアを抜けると、館内は少し明るくなった。
通路の先には大きな水槽が並び、色とりどりの魚たちがゆっくりと泳いでいる。
凛が足を止めた。
「あ、見て」
蒼も水槽に目を向ける。
小さな魚の群れが、水の中で一斉に向きを変えた。
「すごいな」
「ね」
凛は楽しそうに笑う。
二人はゆっくりと館内を歩いていく。
しばらく進むと、ペンギンのエリアに差し掛かった。
ガラスの向こうで、ペンギンたちがよちよちと歩き回っている。
凛が少し身を乗り出した。
「かわいい」
蒼も水槽を見る。
「歩き方おもしろいな」
そのとき、一匹のペンギンが水に飛び込んだ。
勢いよく泳ぎ出す。
「速っ」
凛が目を丸くする。
「ね、すごいよね」
蒼も少し笑った。
しばらく眺めていると、凛がふと思い出したように言った。
「そういえばさ」
「ん?」
「ペンギンって、一回カップルになるとずっと同じ相手なんだって」
蒼は少し驚く。
「へぇ」
凛はガラス越しのペンギンを見ながら続ける。
「毎年同じ相手と繁殖するらしいよ」
蒼はペンギンたちを見ながら言った。
「そんな鳥いるんだな」
少し間が空く。
蒼が凛を見る。
「凛、詳しいな」
凛は少し照れたように笑った。
「こういうの好きなんだ」
蒼も小さく笑う。
「へぇ」
二人は並んで、ペンギンたちがよちよち歩く姿をしばらく眺めていた。
しばらくして、凛がふと言う。
「そういえばさ」
「ん?」
「お腹空かない?」
蒼は少し考えてから頷いた。
「言われてみれば」
凛は館内の案内板を見る。
「あ、レストランあるみたい」
蒼も覗き込む。
「ほんとだ」
凛が笑う。
「行ってみよっか」
蒼も頷いた。
「そうするか」
二人は並んで、水族館のレストランへ向かった。




