44 順調な作戦
凛の誘いに蒼が頷くと、凛は嬉しそうに笑った。
「ほんと?」
「ああ」
「よかった」
少し安心したように息をつく。
千尋が腕を組みながら言う。
「じゃあさ」
「いつ行く?」
凛は蒼を見る。
「蒼くんいつ空いてる?」
蒼は少し考える。
「今度の日曜とかなら大丈夫だけど」
凛の表情がぱっと明るくなる。
「ほんと?」
「うん」
「じゃあ日曜にしよ!」
凛は楽しそうに言った。
「水族館だよね」
千尋も頷く。
「うんうん」
蒼は軽く笑った。
「わかった」
「じゃあ日曜な」
凛は少し考えてから言う。
「えっと……じゃあ」
「駅前で待ち合わせとかどう?」
蒼は頷く。
「いいよ」
千尋が続ける。
「時間は?」
蒼は言う。
「午前中の方がゆっくり見れるんじゃない?」
凛は嬉しそうに頷く。
「じゃあ……」
「10時くらい?」
「オッケー」
蒼が言う。
「じゃあ日曜、駅前に10時な」
凛は小さく笑った。
「うん」
そのやり取りを、愛菜は少しだけ黙って見ていた。
そして、ほんの一瞬。
なんとも言えない表情を浮かべる。
ほんの少しだけ寂しそうで、でもすぐにいつもの表情に戻った。
その変化に気づいたのは̶̶
千尋だけだった。
千尋はちらっと愛菜を見る。
だが何も言わない。
ただ小さく視線を戻した。
凛はそんな空気にまったく気づかず、嬉しそうに言う。
「楽しみだね」
蒼は少し照れながら頷いた。
「ああ」
千尋はその様子を見ながら、心の中で呟く。
(よし)
作戦は順調だった。




