43 お誘い
午後の講義が終わり、キャンパスの通路を蒼と愛菜は並んで歩いていた。
「次の講義サボりたいな」
愛菜が少し伸びをしながら言う。
蒼は苦笑する。
「お前いつも言ってるなそれ」
「だって眠いんだもん」
そんな他愛もない会話をしていると̶̶
前から歩いてくる二人の姿が見えた。
「……あ」
凛だった。
その隣には千尋もいる。
凛は蒼に気づくと、ぱっと表情を明るくした。
「蒼くん!」
蒼
「お、凛」
凛は少し嬉しそうに近づいてくる。
そのとき、蒼の隣にいる愛菜に気づいた。
「……あ」
一瞬だけ目を丸くする。
愛菜は軽く笑った。
「こんにちは」
「こんにちは」
凛も笑顔で返す。
千尋はその様子を見ながら、心の中で思う。
(お、愛菜ちゃんいるんだ)
だが、顔には出さない。
すると凛が少しだけ緊張した様子で言った。
「蒼くん」
「ん?」
凛は一度千尋を見る。
千尋が小さく頷く。
凛は少し照れながら言った。
「今度さ……」
「千尋ちゃんと三人で遊ばない?」
蒼は一瞬驚く。
「三人で?」
「うん」
凛は小さく頷く。
「水族館行こうって話してて」
蒼の頭の中で、一瞬いろんな感情が混ざる。
凛に誘われた嬉しさ。
そして̶̶
隣にいる愛菜の存在。
蒼は少しだけ言葉に詰まる。
「……あー」
その空気を見て、愛菜が口を開いた。
「いいじゃん」
三人が愛菜を見る。
愛菜は軽く笑った。
「楽しそうじゃん」
そして蒼を見る。
「行って来なよ」
蒼
「……いいのか?」
愛菜は肩をすくめる。
「別に私が止める理由ないでしょ」
そして少しだけ笑う。
「せっかく凛ちゃんが誘ってくれてるんだし」
凛は少し安心したように言う。
「じゃあ……行けそう?」
蒼は少し考えてから頷いた。
「ああ、いいよ」
凛の表情がぱっと明るくなる。
「ほんと?」
「うん」
千尋はその様子を見ながら、心の中で静かに呟いた。
(よし)
作戦成功。




