31 呼んでよ
食事を終えた後、千尋が元気よく叫んだ。
「みんな、後片付けは後!遊ぼう!」
川沿いに移動すると、水の冷たさが足元に心地よく伝わる。
三郎と太陽はすぐに水を掛け合い、はしゃぎながら水しぶきを飛ばす。
千尋は小さな石を蹴り、水面に跳ねる水しぶきを見て笑いながらみんなを追いかける。
凛と蒼は自然と隣同士で川の中を歩いた。
浅瀬の石を一歩ずつ慎重に踏みながら、互いに笑顔を交わす。
凛がふと顔を上げ、照れくさそうに言った。
「蒼くん、いつまで新井さんて呼ぶの?凛って呼んでほしいなぁ…」
蒼は慌てて目を逸らし、恥ずかしそうに答える。
「え、そ、そりゃ……その、やっぱり……」
凛は小さくムスッとした表情で、でも可愛く怒った風に言った。
「えぇ、なんでよ!」
蒼はさらに顔を赤くして、少しもじもじしながら答える。
「いや、なんか恥ずかしくて……」
凛は腕を組み、少しムスッとしながらも可愛らしく続ける。
「もう、ちゃんと呼んでよ!」
蒼は一呼吸置き、ようやく折れるように小さく笑った。
「……わかったよ、凛って呼ぶね」
凛は嬉しそうに笑い、肩を軽く揺らした。
「やっと呼んでくれた」
その様子を見ていた千尋は、にやにやしながら茶化す。
「あーもう、二人してもじもじして~」
三郎も乗っかり、肩を叩きながら声を上げた。
「おお!?なんだなんだ~?何の会話してんだー?」
蒼は少し照れたように肩をすくめて答える。
「別になんでもねぇよ……」
凛は恥ずかしそうに頬を赤くし、蒼も「てめぇら……」と少し照れながら反論する。
愛菜はそのやり取りを少し離れた場所から見つめ、少し寂しそうに笑った。
太陽はそんな愛菜を見つめ、川沿いの午後は水しぶきと笑い声に包まれていた。




