表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼色の恋に。  作者: ひろねる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/155

24 席決め

三郎の車は、集合場所のすぐ近くの駐車場に停めてあった。

黒いミニバンを見て、千尋が声を上げる。

「え、でか!」

「だろ?八人乗り!」

三郎が得意げに言う。

「じゃあ乗るか」

太陽がそう言いながら助手席のドアを開ける。

「俺、前でいい?」

「おう、ナビ頼むわ」

三郎が頷く。

残った四人は、後ろのドアの前で少しだけ立ち止まった。

「じゃあさ」

千尋がにやっと笑いながら言う。

「凛と蒼くん隣ね」

「えっ!?」

凛が驚きの声を上げる。

蒼も少し戸惑う。

「いや、別に……」

そのときだった。

「私、新井さんと隣がいい」

愛菜がさらっと言った。

みんな一瞬だけ愛菜を見る。

でも本人は特に気にした様子もなく続ける。

「ちょっと話してみたいし」

凛は少し驚きながらも頷いた。

「え?あ、うん……!」

結果、席はこうなった。

前列は運転席に三郎、助手席に太陽。

真ん中の席は蒼と千尋。

後部座席に凛と愛菜。

全員が乗り込むと、三郎がエンジンをかける。

「よっしゃー!GWだぞー!」

「まだ何もしてないだろ」

助手席の太陽が冷静にツッコむ。

「細けぇことはいいんだよ!」

そんなやり取りに、車内はすぐに笑い声で満たされた。

しばらくして、千尋が蒼の方をちらっと見る。

「蒼くんってさ」

「ん?」

「彼女いるの?」

蒼は深く考えずに答えた。

「いないよ」

その瞬間。

ほんの一瞬だけ、空気が止まった。

三郎、太陽、そして後ろの愛菜。

三人の間で、わずかな沈黙が落ちる。

凛だけがその空気に気づいていない。

「そうなんだ」

少し安心したような声で言う。

「えー!絶対モテそうなのに!」

千尋が大げさに言うと、三郎が笑いながら言った。

「こいつモテねーんだよ!」

「うるせー」

蒼が軽く返す。

そして千尋は、ニヤッと笑った。

「じゃあさ」

「ん?」

「凛どう?タイプ?」

「は?」

蒼は思わず間の抜けた声を出した。

「ちょっと千尋!」

凛が慌てて止める。

車内に笑いが広がる。

そのとき。

後部座席で、愛菜がほんの少しだけ顔をしかめた。

ほんの一瞬。

誰にも気づかれないくらいの、小さな変化。

̶̶だが。

助手席の太陽だけは、それに気づいていた。

太陽はバックミラー越しに後ろを見る。

愛菜はもういつもの表情に戻り、窓の外を眺めている。

太陽は何も言わない。

ただ静かに前を向いた。

蒼も後ろをチラッと見て、

……なんか、すごい席になったな

と心の中で呟く。

車は、ゴールデンウィークの賑やかな道路を走っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ