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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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21/243

20 秋3

⸻

しばらく歩くと、通りの角にあるコンビニの明かりが見えてきた。

七海がふと立ち止まる。

「あ」

蒼が振り返る。

「どうした?」

七海は少し照れくさそうに言う。

「ちょっと喉乾きました」

蒼は小さく笑う。

「なんだそれ」

七海はコンビニを指さす。

「寄りません?蒼先輩」

蒼は頷いた。

「まあいいけど」

二人はコンビニに入る。

七海は飲み物コーナーの前でしゃがみ込む。

「うーん」

真剣な顔で並んだペットボトルを見ている。

蒼は適当にお茶を手に取った。

「まだ悩んでんのか」

七海は振り向く。

「だって結構大事ですよ」

蒼は笑う。

「飲み物だろ」

七海は少しむっとする。

「蒼先輩、そういうところ雑なんですよ」

結局スポーツドリンクを手に取る。

「よし、これにします」

レジを済ませて外に出る。

夜の空気が少し冷たかった。

七海はペットボトルを開けて一口飲む。

「ふぅ」

蒼はそれを見て笑う。

「満足したか?」

七海は頷く。

「はい」

少し歩いてから七海が言う。

「蒼先輩」

「ん?」

七海はペットボトルを少し差し出した。

「一口飲みます?」

蒼は驚く。

「いやいいよ」

七海はきょとんとする。

「なんでですか?」

蒼は苦笑する。

「お前のだろ」

七海は笑う。

「いいですよ別に」

⸻

しばらく歩くと分かれ道が見えてきた。

七海の家は右。

蒼の家はまっすぐだ。

七海が立ち止まる。

「ここですね」

蒼も足を止めた。

「おう」

七海は軽く手を振る。

「じゃあ」

「また明日、蒼先輩!」

蒼は少し笑う。

「おう」

七海はくるっと背を向けて歩き出す。

数歩歩いてから、少しだけ振り返った。

蒼はもう歩き出している。

その背中を見て、七海は小さく笑う。

(蒼先輩が笑ってくれるなら)

(それだけで、ちょっと嬉しい)

七海は前を向いた。

夜の帰り道を、軽い足取りで歩いていった。

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