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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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183/213

182 また来よう

新年。

朝の光が、やわらかく差し込んでいた。

居間には、ゆったりとした空気が流れている。

「おはよう」

蒼があくび混じりに言う。

「おはよう」

愛菜も少し眠そうに返す。

そのとき。

玄関の方から声がする。

「ごめんくださーい」

「……あ」

蒼が顔を上げる。

「澪だな」

「おはよー」

澪がそのまま入ってくる。

「明けましておめでと」

「おう、おめでと」

蒼が軽く返す。

「明けましておめでとうございます」

愛菜も少しだけ頭を下げる。

「おめでと」

澪が笑う。

三人でこたつに入る。

テレビをぼんやり見ながら、だらだらと時間が流れる。

「なんもやることねーな」

蒼がぽつりと言う。

「正月だしそんなもんでしょ」

澪が言う。

「てかさ」

澪が少し体を起こす。

「蒼ちゃんたち、明日帰るんでしょ?」

「あー、うん」

蒼が頷く。

「2日には戻ろうかなって」

「そっか」

澪が軽く頷く。

「じゃあ今日ラストじゃん」

「まあな」

蒼が答える。

「てかさ」

澪が続ける。

「午後、福袋行かない?」

「福袋?」

蒼が聞き返す。

「うん」

澪が頷く。

「初売りやってるし」

「結構人いると思うけど」

「それも含めて正月っぽいじゃん」

「どうする?」

蒼が愛菜を見る。

「……行きたい」

愛菜が少し笑う。

「なんか楽しそう」

「決まりだな」

蒼が言う。

午後。

三人で出かける。

街は正月の賑わいで溢れている。

「人多いな」

蒼が言う。

「だね」

愛菜も周りを見ながら言う。

「ほら、あそこ」

澪が先に進む。

「福袋売ってる」

店の前は人だかり。

少し並んで、なんとか買う。

「重っ」

蒼が袋を持ちながら言う。

「そんな買うからでしょ」

澪が笑う。

「楽しかった」

愛菜が言う。

「うん」

蒼も頷く。

家に戻る。

少し疲れた空気。

でも、どこか満足感がある。

夜。

食卓には、また温かい料理が並ぶ。

澪も一緒に座る。

「いただきます」

笑いながら、会話しながら。

賑やかな時間が流れる。

「じゃ、帰るわ」

澪が立ち上がる。

「またな」

蒼が言う。

「今日はありがとね」

愛菜が言う。

「うん」

澪が少し笑う。

「じゃあまた」

軽く手を振って、帰っていく。

部屋に戻る。

静かになる。

「なんかさ」

愛菜がぽつりと言う。

「うん?」

蒼がベッドに腰を下ろす。

「青森のご飯おいしくて」

少しだけ笑う。

「食べすぎたかも」

「いいじゃん別に」

蒼が軽く言う。

「正月だし」

「でもちょっと太ったかも」

「そんな変わってねーよ」

さらっと言う。

「……ほんと?」

「うん」

軽く頷く。

少しだけ、間。

「弘前さ」

蒼がぽつりと言う。

「桜有名だから」

「春、また帰ってきてもいいかもな」

「……うん」

愛菜が頷く。

「また来よう」

小さく言う。

「だな」

蒼が答える。

布団に入る。

部屋は静かだ。

「おやすみ」

蒼が言う。

「おやすみ」

愛菜も返す。

少しだけ、間。

「ねー、アオ」

愛菜が小さく呼ぶ。

「……」

「そっちの布団、入っていい?」

返事はない。

蒼は、もう寝ている。

静かな寝息。

「……もう」

小さく呟く。

少しだけ迷って——

そっと、布団に入る。

「……あったか」

小さく呟く。

蒼は、動かない。

「……いいよね」

小さく言う。

そのまま、目を閉じる。

静かな夜。

二人の距離は、少しだけ近づいたまま——

ゆっくりと、時間が流れていく。

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