173 ちょっといい?
こたつを囲む空気は、ゆったりと流れていた。
「新幹線どうだった?」
母が蒼に聞く。
「普通」
蒼が答える。
「ちょっと長かったけどな」
「でしょー」
母が笑う。
「こっち遠いもんね」
「でも、全然あっという間でした」
愛菜が言う。
「外の景色見てたら、楽しくて」
「最初はそれ楽しいんだよね」
母が頷く。
「雪、すごかったでしょ」
澪が言う。
「はい」
愛菜が頷く。
「外出た瞬間びっくりしました」
「だべ?」
澪が少し笑う。
「最初はみんなそうなる」
「でも、すごい綺麗で」
「夜もっといいよ」
さらっと言う。
「静かだし、雪が光る感じになる」
「え、見てみたい」
「あとで行けるよ」
軽く言う。
「外、冷えるはんでなぁ」
ばあちゃんがゆっくり言う。
「ちゃんと着ねばダメだよ」
「はい」
愛菜が頷く。
「じゃあさ」
母が立ち上がる。
「部屋案内するよ」
「うん」
蒼が頷く。
「ほら、愛菜ちゃんも」
「はい」
廊下を歩く。
少しだけひんやりした空気。
「ここね」
母が扉を開ける。
「とりあえずここ使っていいから」
蒼は中を見て、少しだけ息を吐く。
「……変わってねぇな」
ぽつりと呟く。
「そう?」
母が笑う。
「ほとんどそのままだよ」
「だろうな」
軽く返す。
「荷物そこら辺でいいよ」
「ありがと」
「ゆっくりしてていいから」
そう言って、母は部屋を出ていく。
静かになる。
「……」
愛菜が部屋を見回す。
「なんか落ち着くね」
「だな」
蒼が頷く。
「来るたびこんな感じだったし」
「そっか」
愛菜が小さく頷く。
コンコン、と軽くノック。
「蒼ちゃん?」
「いる?」
「……いる」
蒼が答える。
扉が少し開く。
澪が顔を出す。
「ちょっといい?」




