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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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166/221

165 年末

付き合って、一週間。

年末の冷たい空気が、街を包んでいた。

窓の外には、少しだけ残ったクリスマスの装飾。

でも、その空気はもうどこか落ち着いていて。

今年が終わることを、静かに感じさせていた。

蒼の部屋。

暖房の効いた空間の中で——

「……あったか」

愛菜が小さく呟きながら、ソファに身体を沈める。

「そりゃ暖房つけてるしな」

蒼がキッチンから戻りながら言う。

手には、マグカップが二つ。

「はい」

「ありがと」

受け取って、少しだけ息を吹きかける。

「ふー……」

そのまま、一口。

「……あったかい」

「だろ」

蒼も隣に座る。

少しだけ距離が近い。

でも——

それがもう、自然だった。

「……なんかさ」

愛菜がぽつりと呟く。

「ほんとにまた一緒にいれるんだなって思う」

「……」

蒼は少しだけ視線を向ける。

「今さら?」

少しだけ笑いながら言う。

「うん、今さら」

愛菜も小さく笑う。

「でも、なんかさ」

マグカップを両手で持ちながら。

「こうやって普通にいれるの、いいなって」

「……まあな」

蒼も軽く頷く。

少しだけ、間。

静かな時間。

暖房の音と、二人の気配だけ。

「……あ」

蒼がふと思い出したように言う。

「俺、年末帰るわ」

「え?」

愛菜が顔を上げる。

「どこに?」

「青森」

「あー、そっか」

少しだけ頷く。

「親御さん、青森に住んでるんだっけ?」

「そうそう」

蒼が軽く答える。

「ばあちゃんの体調、あんま良くないらしくて」

「……そっか」

愛菜の表情が、少しだけ柔らかくなる。

「いつまでいるの?」

「年明け2日には戻ろうかなって思ってる」

「結構いるね」

「まあな」

軽く肩をすくめる。

「……」

少しだけ沈黙。

愛菜がマグカップを見つめる。

そして——

「……青森かぁ」

ぽつりと呟く。

「ん?」

「雪、すごそうだよね」

少しだけ笑う。

「見てみたいなぁって思ったり」

「……」

蒼は少しだけその横顔を見る。

何気ない一言。

でも——

どこか、少しだけ期待が混ざっている。

「……寒いぞ」

「それは分かってるよ」

愛菜が少しだけ笑う。

「でもさ」

少しだけ視線を上げる。

「たまにはそういうのもいいかなって」

「……」

蒼は、少しだけ考える。

そして——

「……じゃあさ」

ぽつりと、言う。

「一緒に来るか?」

「……え?」

愛菜が、固まる。

「青森」

当たり前みたいに続ける。

「どうせ俺、向こういるし」

少しだけ肩をすくめる。

「暇だろ」

「……」

愛菜の目が、少しずつ見開かれていく。

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