162 二度目の
「……愛菜」
静かな声。
呼ばれた愛菜は、ゆっくりと振り向く。
イルミネーションの光が、その表情を優しく照らしていた。
「……なに?」
少しだけ緊張したような声。
蒼は、一瞬だけ言葉を探す。
でも——
すぐに、目を逸らさなかった。
「……今日さ」
小さく、息を吐く。
「楽しかった」
「……うん」
愛菜も、小さく頷く。
「私も」
その返事に、少しだけ笑う。
でも——
すぐに、表情が戻る。
「なんかさ」
ゆっくりと言葉を続ける。
「今日一日、ずっと思ってたんだよ」
「……」
「やっぱり、こういう時間」
少しだけ視線を落とす。
「……好きだなって」
「……」
愛菜は、何も言わない。
ただ、まっすぐ見ている。
「お前といる時間が」
はっきりと、言う。
「一番、楽しい」
少しだけ、間。
冬の空気が、静かに流れる。
「……」
「俺さ」
もう一度、息を吐く。
「ずっと分かってなかった」
「……」
「何が大事なのか」
視線を上げる。
「誰といたいのか」
その言葉は、迷いがなかった。
「……」
愛菜の目が、わずかに揺れる。
「でも」
一歩、近づく。
「やっと分かった」
その距離は、もうごまかせない。
「……」
「俺は」
言葉を、選ばない。
「愛菜がいい」
まっすぐに、伝える。
「これからも」
少しだけ息を吸う。
「ずっと、愛菜の隣にいたい」
一瞬の静寂。
イルミネーションの光だけが、揺れている。
「……好きだ」
静かに、でもはっきりと。
「愛菜のことが、好きだ」




