148 冬
12月の夜。
冷たい空気が、コンビニのガラス越しにも伝わってくる。
自動ドアが開くたびに、ひんやりとした風が店内に入り込んだ。
「さむっ……」
レジ横で、七海が肩をすくめる。
「外やばいですよ今日」
「だな」
蒼は商品を並べながら軽く頷く。
「手袋あっても無理なやつ」
「それなです」
七海が大きく頷く。
少しだけ、店内が落ち着く。
客足もまばらで、静かな時間が流れる。
「そういえばさ」
蒼がふと思い出したように言う。
「受験、どうなんだよ」
「うわ、その話します?」
七海が苦笑する。
「いやするだろ普通に」
「してますよ、ちゃんと」
七海は少しだけ胸を張る。
「まあ、推薦なんで」
「あー、そっか」
蒼が頷く。
「でも面接とかあるんで、普通に緊張します」
「お前が緊張すんのか」
「しますよ!」
少しだけムキになる。
「めっちゃちゃんとした感じで来られたらどうしようとか思いますも
ん」
「いつも通りでいいだろ」
「いやそれが一番危ないやつですって」
蒼は少しだけ笑う。
「まあでも、お前なら大丈夫だろ」
「
……そうですか?」
「ああ」
短く答える。
七海は、少しだけ視線を逸らした。
「
……そう言われると、ちょっと安心します」
小さく呟く。
そのとき——
ピンポーン
自動ドアが開く。
冷たい風が、一瞬だけ店内に流れ込む。
「いらっしゃいませー」
七海が声を出す。
蒼も何気なく視線を向ける。
「おー」
入ってきたのは、太陽だった。
「バイト中か」
「見りゃ分かるだろ」
蒼が軽く返す。
「だな」
太陽はいつも通りの調子で笑った。




