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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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147/153

146 昼の学食 続

騒がしい空気のまま、学食の時間は続いていた。

「でさ、結論」

三郎が指を立てる。

「この大学は神」

「雑すぎるだろ」

蒼が即ツッコミ。

「いや事実だって!」

そのとき——

「柏木くん」

優子がふと声をかける。

「ちょっとこれ取ってくれる?」

テーブルの奥にあるトレーを指差す。

「あ、はい」

蒼が立ち上がる。

少し前に身を乗り出す。

その瞬間——

ガタンッ

後ろから誰かがぶつかる。

「うわっ」

バランスを崩した蒼が、そのまま前に倒れ込む。

「きゃっ——」

ドンッ

優子の方に倒れ込む形になる。

一瞬、完全に距離がゼロになる。

……」

……」

固まる二人。

近い。

めちゃくちゃ近い。

……柏木くん?」

優子が小さく言う。

……すみません」

蒼、真顔。

そのままゆっくり離れる。

完全沈黙。

そして——

「おい今の」

三郎が立ち上がる。

「100点だろ」

「何がだよ」

「いやいやいや!」

三郎が机を叩く。

「今の完全にラッキーイベントだろ!!」

「違うだろ」

「違わねぇよ!」

「距離やばかったぞ今!」

「近かったな」

牧原が冷静に言う。

「近かったですね」

千尋も頷く。

「お前らうるせぇ」

蒼が呆れる。

「いやいや蒼お前な」

三郎が詰め寄る。

「普通の男なら3日は引きずるぞ今の」

「引きずらねぇよ」

「引きずるって!」

そのとき——

「ふふ」

優子が小さく笑う。

「柏木くん、こういうの慣れてなさそうだもんね」

「慣れる機会ないです」

即答。

「真面目すぎでしょ」

千尋が笑う。

「いやでもさ」

牧原が言う。

「今の対応で分かるわ」

「何がですか」

「モテるやつだわ」

「いや関係ないでしょ」

「あるある」

三郎が頷く。

「こういうやつが一番持ってくんだって」

「持ってかねぇよ」

太陽だけが、少しだけ苦笑していた。

「まあ……らしいけどな」

蒼は小さくため息をつく。

(ほんと、なんなんだよ)

でも、その空気はどこか心地よかった。

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