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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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144/152

143 やっぱり

夕焼けの中。

二人で並んで歩く。

さっきまで話していた内容の延長みたいに、会話は自然に続いていた。

「そういえばさ」

愛菜がふと思い出したように言う。

「蒼って、昔からああいうとこあったよね」

「どこだよ」

「急に打ち始めると止まらなくなるやつ」

「あー……」

蒼は少しだけ笑う。

「まあ、あるかもな」

「あるかもじゃなくて、あったよ」

愛菜はくすっと笑う。

「試合中に急にスイッチ入ってさ」

「周り見えてない感じ」

「失礼だな」

「でもさ」

愛菜が少しだけ視線を前に向ける。

「そういうとこ、好きだったよ」

一瞬だけ、空気が止まる。

……そうかよ」

蒼は、少しだけ視線を逸らす。

でも、嫌な感じじゃなかった。

「てか愛菜もだろ」

蒼が言う。

「何が?」

「なんかあったらすぐ顔に出るやつ」

「え、出てる?」

「出てる出てる」

「うわ最悪」

「分かりやすいから助かるけどな」

「それ褒めてないでしょ」

テンポよく言い合う。

気づけば、笑っていた。

自然に。

無理なく。

(……ほんとに)

蒼は、ふと思う。

(変わってねぇな)

隣を歩く愛菜を見る。

距離も。

空気も。

全部、あの頃と同じだった。

(……)

不思議と、頭の中は静かだった。

前なら、こういうときに浮かんでいたはずの存在がある。

花火。

夜。

あのときの言葉。

(……)

でも今は、それが浮かばない。

代わりにあるのは、隣にいるこの空気だけだった。

「なあ」

蒼が、ふと口を開く。

「ん?」

「またさ」

一瞬だけ、言葉を止める。

でも、すぐに続ける。

「こうやって帰るの、悪くねぇな」

愛菜は、少しだけ驚いたように目を瞬かせる。

それから、小さく笑った。

……うん」

「悪くないね」

夕焼けの光が、少しだけ柔らかくなる。

二人の歩く速度は、自然と揃っていた。

(……)

蒼は、前を向いたまま思う。

言葉にはしない。

でも

(やっぱり)

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