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138 練習
練習は続く。
キャッチボール。
ノック。
バッティング。
ひとつひとつの動作が、体に染み込んでいく。
(……こんな感じだったな)
思い出す。
いや、思い出すというより——
“戻っていく”感覚だった。
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気づけば、余計なことを考えていない。
ただ、ボールを追って。
ただ、バットを振って。
ただ、プレーしている。
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(……)
ふと、一瞬だけ。
頭の片隅に、何かがよぎる。
花火。
夜。
あのときの言葉。
⸻
「柏木ー!ボール来てるぞ!」
「
……あ」
慌てて視線を戻す。
飛んできた打球を、しっかりと捕る。
——パシッ
「ナイス!」
声が飛ぶ。
蒼は小さく息を吐いた。
⸻
(……今はいい)
グローブを軽く叩く。
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また、次のボールが来る。




