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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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138/152

137 懐かしい

十月。

夏の名残が少しずつ薄れて、風にわずかな涼しさが混じり始めていた。

大学のグラウンドには、乾いた打球音が響いている。

——パシッ

「ナイスボール!」

声が飛ぶ。

蒼は一塁ベースの近くで、その様子を見ていた。

グローブをはめた手。

少しだけ汗ばんだ掌。

(……久しぶりだな)

ボールの音。

土の匂い。

全部が、懐かしい。

このサークルは、本格的な部活とは違う。

練習は月に二回。

試合も、月に二回。

それでも——

蒼にとっては、十分すぎる場所だった。

「柏木ー!」

後ろから声が飛ぶ。

振り向くと、チームメイトが手を振っていた。

「次、お前な!」

「おう」

短く返事をして、軽く肩を回す。

まだ少しだけ、違和感はある。

でも——

(……やれないわけじゃない)

バットを握る。

その感触に、少しだけ力が入る。

「いくぞー!」

ピッチャーがセットに入る。

——シュッ

ボールが来る。

蒼は軽く踏み込む。

——カンッ

鋭い打球が外野へ伸びる。

「ナイバッチ!」

周りが盛り上がる。

蒼は一塁へと走りながら、小さく息を吐いた。

ベースに立つ。

呼吸を整える。

胸の奥が、じんわりと熱い。

(……やっぱり)

少しだけ、口元が緩む。

(楽しいな)

ベンチに戻ると、誰かが肩を叩いた。

「やっぱうめぇな、お前」

「久しぶりとは思えねぇわ」

蒼は軽く笑う。

……まあな」

いつも通りの、軽い返し。

でも——

その内側は、少し違っていた。

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