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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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137/163

136 あとの余韻

ベンチから、ナインが一斉に飛び出す。

「蒼ーー!!」

「ナイスプレー!!」

ホーム付近に駆け寄る。

太陽も笑いながら近づく。

「おい蒼!」

肩を軽く叩く。

「あんな思いっきり投げて大丈夫だったのかよ」

蒼は少しだけ笑う。

「……あの場面で」

「痛いからって投げねー選択肢はねーよ」

太陽は呆れたように息を吐く。

「……ったく」

両チームが整列する。

「ありがとうございました!!」

「あーっした!!」

声が重なる。

試合後。

チームメイトたちが蒼に集まる。

「柏木お前やべーよ!」

「太陽から聞いてたけど半端ねーな!」

「肩大丈夫ならさ、一緒にやろうぜ!」

口々に誘いが飛ぶ。

蒼は苦笑しながら頭をかく。

「……まあ、考えとくよ」

軽く笑う。

スタンド。

七海と小夜が興奮気味に話していた。

「やばかったですね最後のバックホーム!」

七海が身を乗り出す。

小夜も頷く。

「ほんと」

「蒼くんの全力プレー、久しぶりに見た気がする」

二人の会話は止まらない。

その隣で̶̶

愛菜は、静かに蒼を見ていた。

(……野球、やってる)

胸の奥から、いろんな感情が溢れてくる。

そして̶̶

ふっと笑う蒼の姿。

(……)

視線が、離れない。

反対側のスタンド。

凛は、まだグラウンドを見つめていた。

「……」

千尋が声をかける。

「凛?」

返事がない。

もう一度。

「おーい」

ようやく、凛が反応する。

「あ、ごめんね」

少しだけ慌てたように言う。

千尋は笑う。

「そろそろ帰ろっか」

少し間を置いて、続ける。

「蒼くん、すごかったね」

凛は、ゆっくりと頷く。

「……うん」

小さく息を吸って。

「本当に、かっこよかった」

千尋が何かを言いかける。

「凛、本当に蒼くんのこと̶̶」

その言葉を̶̶

凛が遮る。

「千尋ちゃん」

少しだけ明るい声で。

「お腹空いたー」

「ご飯食べて帰ろー」

一瞬の間。

千尋は、ふっと微笑む。

「そうだね」

「私もお腹空いたー」

「何食べる?」

二人はそのまま、歩き出す。

夕方の光の中へ。

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