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132 配球
ツーアウト。
一塁、二塁。
バッターボックスには̶̶蒼。
(……ツーアウトで、一、二塁か)
視線を外野へ向ける。
(ライトは深い……)
(センターとレフトは前進守備)
静かに状況を整理する。
(内野抜けば、太陽は絶対に返ってくる)
(一点は確実か)
⸻
ピッチャーはセットポジションに入る。
̶̶シュッ
初球。
外へわずかに外れる。
「ボール!」
(……初球は外して様子見か)
蒼は小さく息を吐く。
(次は内角……スライダーかな)
(……もう一球、見るか)
⸻
二球目。
̶̶ボール。
(……ノーツーか)
⸻
スタンド。
小夜が静かに呟く。
「ノーツーになったね」
視線は一切外さない。
「蒼くんなら、次の甘い球は振り抜く」
⸻
バッターボックス。
(……ノーツー)
(好きな球だけ、振り抜く)
ピッチャーが投げる。
三球目。
外寄りの、少し甘い球。
̶̶カンッ!!
強烈な打球。
ライナー性のファールがスタンドへ飛び込む。
「うわっ!」
千尋が思わず身を引く。
「ちょ、あっぶな!?」
すぐ近くに突き刺さるような打球。
「なに蒼くん、狙ってんのかー!」
ふざけたように言う。
その隣で̶̶
凛は、何も言わずに見ていた。
ただ、真っ直ぐに。
蒼を見つめていた。




