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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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127/152

126 6番、ファースト 柏木

試合当日。

空は高く、雲ひとつない晴天だった。

グラウンドには、サークル同士の試合とは思えないほどの熱気が漂っている。

ベンチ。

「6番、ファースト 柏木」

軽く呼ばれる名前。

蒼はゆっくりと立ち上がった。

グローブをはめる。

(……久しぶりだな)

グラウンドに立つ感覚。

土の匂い。

スパイクの感触。

全部が、懐かしい。

スタンドの端。

七海は少し前のめりでグラウンドを見ていた。

「ほんとに出てる……」

隣には、小夜。

腕を組みながら静かに見ている。

「当然でしょ」

小さく呟く。

その視線は、一直線に蒼へ向けられていた。

少し離れた場所には̶̶

三郎の姿。

「マジかよ……蒼、出てんじゃん」

驚いたように笑う。

そして̶̶

愛菜もまた、太陽に誘われてこの試合を観に来ていた。

試合は序盤。

蒼の第一打席。

「……」

バッターボックスに入る。

静かに構える。

(……サークルの試合、か)

ふと、思う。

軽く流すつもりだった。

適当に打って、終わるはずだった。

でも̶̶

(……)

視線を感じる。

スタンドの方。

七海。

小夜。

そして̶̶

愛菜。

一瞬だけ、視線が交差する。

「……」

小さく息を吐く。

(……ったく)

バットを軽く握り直す。

ピッチャーが振りかぶる。

投げる。

̶̶シュッ

ボールが来る。

蒼の目が、わずかに変わる。

(……遅い)

一歩、踏み込む。

̶̶カンッ!!!

乾いた音が、グラウンドに響き渡る。

打球は̶̶

一直線に空へ。

「……え?」

七海の声が止まる。

打球は伸びる。

伸びる。

そのまま̶̶

バックスクリーンへ突き刺さった。

「……は?」

一瞬、静寂。

次の瞬間̶̶

「おいマジか!?」

「え、今の何!?」

「ホームラン!?」

ベンチがざわつく。

相手ベンチも立ち上がる。

スタンドが一気に騒がしくなる。

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