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124 聞いてくださいよ!
その日の夜。
七海はベッドの上でスマホを握りながら、にやっと笑っていた。
「……これは、行くしかないでしょ」
小さく呟く。
すぐに連絡先を開く。
相手は̶̶小夜。
数コールのあと。
『もしもし?』
落ち着いた声が聞こえる。
「小夜さん」
七海は明るく言う。
『どうしたの、こんな時間に』
「ちょっと聞いてくださいよ!」
少し前のめりな声。
「蒼先輩、試合出ることになったんです!」
一瞬、間が空く。
『……試合?』
声のトーンが少しだけ変わる。
七海は続ける。
「はい!サークルの試合なんですけど」
「助っ人で出るらしくて!」
『へぇ……』
小夜の声に、わずかな興味が混ざる。
「この間一緒に遊びに行ったときも、めっちゃ打ってたんですよ!」
「130キロとか普通に!」
少し大げさ気味に言う。
『……そう』
短い返事。
でも̶̶
その裏で何かが動く。
『いつ?』
「明後日です!」
七海は即答する。
『……場所は?』
「京葉のグラウンドです!」
少しだけ間。
そして̶̶
『行く』
即答だった。
七海は思わず笑う。
「ですよね!」
『当然でしょ』
少しだけ楽しそうな声。
『蒼くんのプレイはちゃんと見ないと』
七海は満足そうに頷く。
「じゃあ現地で!」
『ええ』
通話が切れる。




