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過去の記憶は何処に

どんな生物も一つの細胞から出来上がる。

果たして、細胞には意思や記憶はあるのでしょうか。

スゥーーー


手足に感覚が戻り、筋肉に命令がいく。

少しずつ身体の内側にも活力が戻る。

これが生きているという実感なのか。

そう、私は思った。

此処は何処だろう。

私はまだ少し痛みを感じる体を起こし、部屋を見渡す。

ある程度広い円柱形の部屋で、山吹色に水が光っている。

石造りの遺跡と言ったふうだ。

前の場所と同じようにあたり一面を水らしきものが覆いつくしているが、水っぽさはあまりないと言えた。


私は水をすくい上げた。

手の中には光り輝く糸が無数にあるような感じだ。

生きているようにも見えたが、その光り輝くさまは太古の線虫の様なものを思わせる。

流動的、抽象的な水と言える。


手の中の水が光を放ち始める。

光は粒子状となって手の中で廻り始める。

粒状の光はやがて糸となり、光を増す。

その時光は竜巻を作り上げ、天上へと舞った。

光の竜巻だ。


「綺麗…」


龍星群よりも綺麗だと思う。

手の中に銀河を持った感覚と言える。

けれども、

手の中の水はだんだんと光を失い、糸のような物は消えて、只の水となった。


私はその水を優しく返し、

辺りを見回す。


美しい景色を久し振りに見た気がする。

そう思うと、身体の痛みが少し和らいだ。


どうやら、私はあの真ん中にある水柱から流されたようだ。

水柱と言うよりも、滝が集まったようなもので、荘厳であった。

噴水が溢れた様なものだ。



「さてと、」


治療、といっても方法も分からない。

何をすればいいのだろうか。

お姉ちゃんの心の中である事は確かなのだが、私は恐らく治療方法など、聞いていないと思う。

忘れているという理由ではなく、完全に聞いた覚えがないのだ。

しかも、心の治し方に付いてだ。覚えていない訳がなく、説明もその分だけ長くなると思う。


このことから、聞いていないのでは?と思った。


心や、意識というものはまだ科学的には説明がつかない。

今となってはこのように心に入り込むことができるようになったものの、未だに解明までは行かない。

意識の探求は、世界創造の探求と同じようなものらしい。

現在は確か2040年頃だったが、世界創造についても同じく、解明されていない。


意識という物は何から出来ているのか、このことに関しては科学者達を大いに悩ませた。


細胞か?


はたまた


未知の物質か?


脳の構造と、宇宙の構造は似ているらしい。

もしかしたら近い将来同じ分野の研究となるかもしれない。


研究で思い出したのだが、原子の研究も進んでいた。

それで偉大な発見をした科学者がいたんだっけか。

いつの話だったか


いつだったか、いつだったっけか…

思い出せなくなった。


なにか、何かが拒んでいるような。


でも、それは私たちに大きく影響を及ぼしたのは確かだ。



この部屋は三方向に道が分かれている。

どこへ行くべきか。


『選択』ーーーーーー


迷っていても仕方が無いので、今向いている方向へと行く事にした。


この道は狭く、路地裏と言ったところか、まるで迷路のように道が左右に別れているために、すぐに私は抜け出せなくなってしまった。


「失敗した…」


そう、進む道を悩んでいる時だった。




「ア゛オ゛オ゛オ゛ン」




「なっなに?!」


奇妙な鳴き声らしきものが、聞こえた。


犬?いや違う。

熊?これも違う。


目の前には四方八方狭い路地だ。

もし、人を襲うような生き物だった場合結末は想像出来ないものになる。


オマケに声の聞こえる方向までもが分からない。


唯、唯恐怖に怯える。


逃げるにしてもどうすればいいのか…











「あ」


一歩、二歩、

少しづつ後ずさる。


これまでに無い緊張感。

その距離2m。


鋭い牙に、尖った爪、そして尻尾、強い脚力。

どれに置いても勝てるわけが無い。


本能が本気で訴えかける。




《逃げろ》




だがしかし、此処で走ったら終わりだ。

確実に追いつかれて骨や肉、跡形も無くなるだろう。


理性がギリギリでこの身を此処に留まらせている。

理性がなくなった瞬間私は逃げ出し、バラバラになるだろう。

この時、何故人は戦う武器を捨ててしまったのか疑問に思った。

長い年月の中、長い歴史の中、長い進化の中、人間という種族は知能を選び、そしてここまで発展してきた。

だがしかし、それは火を使い考え、海を渡り争いを辞め、そして社会という名の檻の中で生きることで種族を反映に導いた唯一無二の存在なのかも知れない。

確かに今、人類は世界、この地球という星を支配していると言っても過言では無いが、これは檻の中だけの話である。

人間というものは、生物学的に言うととてもとても脆く、

弱いのだ。

いわゆる、人から見たアリの様な感じだ。


私は恐怖を少しでも和らげるためにバッグからおもむろに取り出す。


両手でしっかりと構えて先端を向けるが、目の前のものには無意味に等しいだろう。


これは、さっき近隣の人、お兄さんに貰ったものだ。

人に対してはとてもとても効果があるのだろうが、それは人間社会での話だ。

目の前の化け物には通じない。


私はしっかりと構えている。



私はしっかりと構えている。



私はしっかりと構えている。



私はしっかりと構えている…筈なのに。


手が勝手に震え出す。


顔は強張り、手足には余計に力をいっぱい込めている為に、素早く反応するなんて事は不可能だ。


力の限り戦う。


「ア゛オ゛オ゛オ゛ン」


鳴き声を聞き、私の考えは真っ白に戻された。

思考が止まる。


そう、目の前にいるのは





8700万年前に絶滅したはずの…





恐竜なのだから。


『選択』ーーーーーー


私は足を反対に向け、全速力で走る。



だが、希望も始めから無かったのだ。


走り出して五秒で捕まった。


その鋭い爪を首にかける。


動脈か、何かが切れる。


プッツン。


痛い。


痛い。


痛い。


痛い。


いたいいたいたいいたい。


手を肩甲骨を残すのみで千木られ、


足を持っていかれ、


四肢がバラける。


辺り一面は私の血液で真紅に染まっていた。


痛い?


痛いのだ。


痛いはず。


痛いハズだ。


いたい?


イタイ


いたい…


そいつは私の脛骨を齧っていた。



『選択』ーーーーーーーーーーーー


違う!違う違う違う違う違う違う違う!


こんなの違う!


想像しては行けなかったものに対して激しく否定する。

逃げたら、死ぬ!


「このヤロぉぉぉぉぉぉぉー

おりぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


私は両手で持っていたものを全力で化け物に向けて振り下ろす。


いや、振り下ろしている。

数秒が数分ぐらいに感じた。

目の感覚が鋭くなり、相手の目を捉える。

その目は鋭い視線を浴びせていて、それでいて強い意思を思わせる凛とした目だ。

けれども、嫌というぐらいにある感覚が横切る。


《ヤ、メ、テ?》


その一瞬、私は心が揺らぎ、振り下ろす先が地面になった。


そのまま私はよろけて、放り投げてしまう。


(キィィィンーーー)


つんざく様な金属音。


そして向こう側にはじけとんだ。


武器など人には無いのだ。


終わった…でも、気づいた。気づかないはずのことに気づいた。


これは、第三の選択肢。


意思を感じることが出来る。

第六感?

この恐竜は初めから私を襲うつもりなど無かったのだ。


進化の過程では、同じ生物だ。

元々一つであったはずだ。


そして、この迷路も。


迷路として見るべきではなかった。

これは、記憶の関門。これを通ら無くては奥へはいけないし、戻ることも出来ない。


迷路と思っていただけだ。


木の枝の様になっていただけで、真っ直ぐ進めば問題無かったのだ。


恐竜は、出口の所で止まった。


「じゃあね。ラプトルさん。」


私は更に奥へと進む。


『前意識』ーーーーーーーーーーーー

今では人体再生技術等が発達していますね。

整形などもする人が居ますが、

くれぐれも自分を見失わない事を願っています。

自分の体が分からない、なんてことにならないようにしたいものです。

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