↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/10

六 傷のついた記録


警察は、津田のスマホの履歴と、事務所から押収した資料に目を通していた。その写しの一部が、ある筋を通じて、慎平の職場に回ってきた。破損データの復元という名目で。

地下二階の蛍光灯の下で、慎平は画面を睨んだ。

津田が殺される三日前に作られた、融資関係の書類。署名、印影、日付。どれも整っている。整いすぎている。

(このタイムスタンプ、保存の順番が逆だ)

日付は古いのに、ファイルの構造が新しい。誰かが後から、過去の日付に合わせて作り直している。そして、書類の借り手欄にある名前を見て、慎平の手が止まった。

神崎霧子。

彼女の戸籍が、本人の知らないところで、巨額の融資の名義に使われていた。

下書きで共有すると、霧子の返事は長い沈黙のあとに来た。

〈私、そんなところにサインしていません〉

〈わかっています。誰かが、あなたの名前を使いました。津田さんはそれに気づいて、口封じをされた可能性があります〉

〈誰が……〉

慎平は、画像の一部を拡大した。書類の端に押された、行政書士の職印。その粒子の乱れ方に、見覚えがあった。コピーして貼られた印影だ。

職印の主は、桐生。地域に根づいた、評判のいい行政書士。貧しい人たちの相談に、無料で乗っている男。

〈桐生という人を、知っていますか〉

〈区役所の帰りに、助けてもらったことがあります。親切な人でした〉

〈その親切が、入口だったのかもしれません〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。