第2章 第十八話 祝宴
何も言うまい・・・・・ごめんなさい。
大きな両開きのドアがキンキラ飾った無表情の男の人たちの手で開けられて、そのままおおげさな口上と共に入場を促された。
何を考えてるんだかわからないこの新しい王様は、ごく自然に私を先に促し私の後に付き従うかのように歩き出す。
え?なに?どうすんの?これって嫌がらせ?
私、自慢じゃないけど、この場所で先に歩けったって、な~んも話し聞いてなかったもん、聞いたかもしれんけど気にしてなかったから、これどうせいと言うのさ。
とりあえず、なんかごちゃごちゃいるきらびやかな人たちは両脇に何列にも並んで頭を下げてるから、このまますんごくあいてるとこ通って堂々と、そう堂々といきゃいいとみた。
すたすた歩くと小さくリンリンとかそやかな音がする。
すたすたリンリン、すたすたリンリン。
私は髪につけられているちっちゃな鈴の音の誘惑にまけて、ちょっとジャンプとかしてみた。
おお、面白い。
ついそちらに気をとられていると、ふと今までなかった人の気配がする。
見るとシンプルな白い法衣だけを身につけたロウザが、すぐそばに控えて膝をつきながら私を見上げてその手を差し出していた。
その目は「ふ・ざ・け・ん・な」と怒っているような気がしないでもない・・・うん、逃げんのはよそう、怒ってるな、うん。
え~と、と私は二へラと笑いジャンプの体制をすかさず止め、大人しくロウザに先導されて歩いた。
最初からそうしてくれりゃあいいじゃん、そう思ったがすかさずロウザがこちらを見たので、これはやばいと想い私はな~んも考えてないよ、とアピールしておいた。
どうも最近こいつら「なりそこない」部隊はあなどれん。
一段と高いそこに新王様と共に座ると、そこからはただ長々としたつまらない時間が続く。
挨拶、挨拶、それが勝手に続いていく。
つまらないのでつい、となりの新王様の方を見ると、新王様ったらすごい。
他の表情一つ動かさずアルカイックスマイルのまま微動だにしない。
ほえ~、なんて凄いとつい見ていたら、その表情を崩さず声を出してきた。
腹話術、リアル腹話術だよ、これ!
「できるならばお願い申し上げる。こちらを見ずに前を見ていただけると助かるのですが」と聞こえた。
「もうじき各国の代表の挨拶も終わりましょう、そこまでくればご退出できます」と。
へぇ、腹黒だけじゃなく、芸持ちなんだ。
私はまじまじとこの新しい王様を更に見つめた。
そのあと、私の暇暇オーラを感じたのか挨拶してくる人の国やそこの風土などを説明してきた。
うん、いらない。
やっとこさ挨拶が終わり、へいへいのていでそこを逃げ出した。
パーティーに突入するらしいが私は関係ない。
部屋に戻って首をかしげた。
何をやってんだろ、私って。
まあ、ともだちが笑ってればいいや、もうじき帰ってくる彼らを私は首を長くして待った。




