最近味覚が変わったりした話
透析を始めてから一年ほど経った。
最近になって、自分の体が以前とは少し変わっていることに気がついた。
最初に気づいたのは、味覚だった。
ざるそばを食べたときのことである。
そばつゆが、やたらと塩辛い。
「こんなに塩辛かったっけ?」
店のつゆが濃いのかと思ったが、どうもそれだけではないようで、以前なら普通に食べていたものが、最近は妙に塩辛く感じるようになっていた。
調べてみると、透析や腎不全によって味の感じ方が変わることがあるらしい。塩分や水分のバランスが変わっていることも関係しているのではないかと思った。
昔から同じものを食べているのに、急に味付けが変わったように感じる。
しかし、変わったのは食べ物のほうではなく、自分の味覚だったのかもしれない。
もう一つ変わったことがある。
脂や肉が多めのものを食べると、妙に体調が悪くなるようになった。
眠くなる。
頭が重くなる。
以前なら、肉をたくさん食べれば「うまかった」で終わっていた。
それが最近は、食べたあとにぐったりする。
最初は単純に年齢のせいだと思っていた。
若い頃のように、何でも好きなだけ食べられるわけではない。
そういうことなのだろうと。
しかし調べてみると、透析をしている人の場合、食後の血圧変化などが関係することもあるらしく、特に脂っこいものをたくさん食べると、眠気や頭の重さにつながることもあるという。
また、タンパク質を多く摂ったときの眠気にも、いくつか理由があるらしい。
もちろん、これが自分の原因だと決まったわけではない。
ただ、以前なら何とも思わなかった食事のあとに、明らかに違う感覚が出てくる。
そうなると、「年齢のせい」で片付けていいのか、少し気になってくる。
まあ私ももう54だ。
いつまでも若い頃と同じ感覚なのが、一番の問題なのかもしれない。
とはいえ、54歳という年齢は、お医者さんから見るとまだまだ若いらしいけどw
そして、もう一つ。
最近、背筋と腰の痛みがなかなか取れない。
これも最初は、単純に疲れているのだと思っていた。
仕事をしている。
透析もしている。
年齢も重ねている。
腰や背中が痛くなっても不思議ではない。
まあ、普段の姿勢が猫背気味になっているようなのが一番の原因ではありそうだが。
だが、透析をしていると、カルシウムやリンなど、体のさまざまなバランスが変わり、骨や筋肉にも影響が出ることがあるらしい。
実際、血液検査では無機リンの数値が5だった。
検査表の上限は4.5なので、数値だけを見れば基準を超えている。
リンの値が高い状態が続くと、血管の石灰化とも関係してくるらしい。血管が石灰化すると硬くなったり狭くなったりして、血液が流れにくくなることもあるという。
それを知ると、最近の腰や背中の痛みにも何か関係があるのではないか、と考えてしまう。
ただ、それだけで原因が決まったわけではない。
血流の問題が関係している可能性もあれば、透析による体の変化、年齢や仕事による負担、あるいは単純に腰や背中そのものを痛めている可能性もある。
自分の体に起きていることなのに、どれが原因なのかは、自分では分からない。
だからこそ、気になる数値や痛みについては、自分で勝手に結論を出さず、必要なら先生に聞いてみようと思う。
透析を始めれば、腎臓の問題がすべて解決するわけではない。
透析と薬と食事管理で、腎臓の働きを補いながら生活することになる。
最初の頃は、とにかく透析という生活に慣れることだけで精一杯だった。
週に三回、決まった時間に透析へ行く。
水分を管理する。
食事に気をつける。
それだけでも、生活は大きく変わった。
だが一年経ってみると、それで終わりではなかったのだと分かる。
体は少しずつ変わっている。
味覚が変わる。
食べられるものや、食べたあとの体調が変わる。
腰や背中の痛みが続く。
以前なら気にしなかったことまで、気になるようになった。
もちろん、何でも透析のせいにするつもりはない。
年齢の影響もあるだろう。
運動不足かもしれない。
腰痛なら、単純に腰を悪くしている可能性だってある。
だからこそ、自分で結論を出すのではなく、気になることは調べて、必要なら先生に聞く。
自分の体なのに、以前のようには簡単に分からない。
ざるそばのつゆが塩辛い。
肉を食べると眠くなる。
腰と背中が痛い。
そんな小さな変化にも、もしかしたら理由がある。
でも、その理由が自分ですぐ分かるとは限らない。
透析を始めて一年。
まだまだ、自分の体について知らないことばかりだ。




