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人工透析導入日記  作者: 水源


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4時間透析すれば、4時間小説が書けると思っていた

 タイトル通りなのですが、4時間以上の透析の最中に小説の執筆をできればいいのだけど実際は難しいのですよね。


 4時間以上という時間だけを見ると、かなり長い。


 普通なら、


「その時間に小説を書けばいいじゃないか」


 と思ってしまいます。


 実際、私もそう考えたことがあり、ノートパソコンやマウスを持ち込んだことがあります。


 以前に心臓の大動脈血管手術をしたときは3週間ほど入院していたので、実際小説を書いていました。


 透析をしている間に、ノートパソコンを自由に使えれば。


 4時間もあれば、かなりの量を書けるはずです。


 ……ところが。


 実際には、そう簡単ではない。


 まず大きいのが、腕の問題です。


 透析では左腕に、採血と返血のための針を二本刺します。


 しかも、そのうち一つは肘の内側に近い位置になる。


 当然ですが、針を刺した状態で腕を大きく動かすわけにはいきません。


 という少しでも曲げると、針がめっちゃ痛いです


 なので、


「ちょっと腕を曲げてキーボードを打つ」


 という動作ですら難しい。


 無理に動かしてしまえば、針の位置がずれる可能性もあります。


 だから左手は、基本的に完全に戦力外。


 小説を書くとなると、やはり両手が使えることが前提になってしまう。


 片手入力という方法もあります。


 ありますが。


 ものすごく効率が悪い。


 普段なら数分で書ける文章を、片手でぽちぽち入力していると、それだけで疲れてしまいます。


 そして、もう一つ問題があります。


 それが、姿勢です。


 透析中は、体調や血圧の変化に注意しなければなりません。


 上体を起こしたことで血圧が99以下に下がりすぎる可能性もある。


 そうなると、


「小説を書こう」


 どころではありません。


 その状態だと透析を終わらせられないのです。


 なので、


「大人しく横になっていたほうがいい」


 という話になります。


 つまり、


 時間はある。


 でも、


 執筆に適した環境ではない。


 という、なんとも微妙な状況なのです。


 しかも小説を書くというのは、単純に文字を入力するだけではありません。


「次はどういう展開にしよう」


「このキャラクターなら、ここで何を言うだろう」


「この設定に矛盾はないか」


「この文章はちょっとくどいな」


 などと、頭の中ではかなりのことを考えています。


 だから、


「透析中の4時間を全部執筆時間にできる!」


 とはならない。


 むしろ現実的なのは、


 透析中は小説を書く時間ではなく、小説のネタを考える時間にする。


 という使い方なのかもしれません。


 ノートパソコンを操作するのが難しくても、頭の中で次の展開を考えることはできます。


「あの場面の続きをどうするか」


「次の話では、この設定を出そう」


「このキャラクターをもう少し動かそう」


 そんなことを考えておいて、透析が終わってから一気に文章にする。


 そう考えると、4時間以上という長い時間も、完全に無駄というわけではありません。


 ただし。


 これはあくまで体調が許す範囲での話です。


 透析は小説を書くための時間ではありません。


 まず優先されるのは、当然ながら治療です。


「せっかく4時間もあるんだから執筆しなければ」


 と考えてしまうと、それはそれで負担になってしまう。


 だから、


 書ける日は書く。

 書けない日は考える。

 それすら無理な日は、何もしない。


 くらいでいいのだと思います。


 4時間以上の透析。


 数字だけを見ると、


「小説を書きまくれる時間」


 に見える。


 でも実際にやってみると、


 時間があることと、執筆できることは別問題だった。


 小説を書くというのは、意外と身体的な自由も必要なのだな。


 そんなことを、透析をしながら考えたりします。


 ちなみに暇つぶしにはタブレットでソシャゲをするか、なろうやカクヨムを読むことで対処してます。

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― 新着の感想 ―
 つ 音声入力は?  自分の師と崇めるかたは、腕を折った際音声入力で小説を書いておられました。    (ただ、同音異義語が結構な頻度でまちがっていましたが……。
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