1305.陰陽寮の怪しい人材
「こちらにどうぞ」
志恋さんに案内された部屋に入る。
そこは十畳ほどの畳部屋で、中央あたりに男が二人、女が一人座して待っていた。
俺たちが来たのを合図に一斉に立ち上がり、礼を行ってくる。
正座から即座に立っての礼とか、こやつらやりおる。
俺だったらまず確実に足がしびれて転がっているだろう。
「ようこそお待ちしておりました稲荷大明神様。大したもてなしは出来ませんが、どうぞこちらにお座りください」
俺たち用の座布団が女性の陰陽師さんにより設置されていく。
なるほど、俺らも正座しろとな?
「どうぞ、お座りください」
あ、未知なるモノさん正座じゃなく胡坐かきやがった。
なるほど、別に問題はなさそうだな。
「すいませんが正座に慣れてなくて、彼同様胡坐でも?」
「お好きに座ってください」
一応失礼にならないように、と告げてみると、苦笑されてしまった。
まぁ痺れて失態見せるよりはよかろう。
「ふむ、このような場所に座るのは初めてかもしれんな」
ヌトセさんマジか!?
結局しっかりとした正座を行ったのは稲荷さんと芽里さん、ヌトセさん、ルルルルーアさんだけだった。
メリーさんは芽里さんのポケットに隠れ、妖精さんは俺の頭の上に寝転ぶ。
ハニエルさんは空中に浮かんでリラックス。テイメさんは犬みたいにお座り状態で稲荷さんの隣にちょこんと座った。
一瞬稲荷さんが嫌そうにテイメさん見たけど、テイメさんは気にしてない様子。
むしろわざとだよな、そこに座ったの。
プレイヤーメンバーは男性陣はほぼ胡坐、女性陣は横座りするようだ。
マイネさんはあえて座布団ではなくマンホールを数枚重ねて椅子に座るような姿を取っている。
あんた座敷でなにやってんだ!?
陰陽師側もさすがに顔を引くつかせている。
すいませんすいません、ほんと、ウチのマンホール馬鹿がすいません。
あれ、うちでも問題児なんです、と代表者さんに耳打ちしておく。
最悪なことが起こっても連帯責任じゃなくマイネさんだけに絞ってください。マジで。
「ははは、短い時間ですし、跡は残らないでしょう、多分……さて、まずは自己紹介をさせていただきます。私は安倍秋吉と申します。こちらの女性は赤星董樺、逆隣りの男性が蘆屋道満です」
紹介されて、正座のままにこやかに頭を下げる赤星さんと、胡散臭い笑みを浮かべる蘆屋さん、おかしいなぁ、その名前、どっかで聞いた気がします。もしかして有名人?
「さて、いろいろと話に華を咲かせたくもあるのですが、本題から入らせて貰ってもよろしいですかね?」
皆へとお茶を配っていく志恋さんが彼らの背後に座ったのを確認し、安倍さんが告げる。
秋吉さんかぁ、安倍晴明ではないんだな。
「ではさっそくですけど、こちらが件のカードゲームです」
脛擦りのカードを安倍さんへと渡す。
なんか俺が一番安倍さんに近い場所で代表みたいになってんだけど、これ、いいのか?
まぁカード出したりで楽だからここでいいけども。
「拝見します。ふむ……なるほど」
阿部さんは脛擦りのカードを受け取ってじぃっと見つめ、裏返して顎をさする。
「道満殿、いかがでしょう?」
さらに蘆屋さんへとカードを手渡し、蘆屋さんも同様にカードを凝視する。
「間違いないですなぁ。これは陰陽師が手掛けた式神ですな」
と、赤星さんへとカードを手渡す蘆屋さん。
赤星さんも同様に前後を確認し、むーっと唸る。
「正直信じがたいですけど、これ、かなり高等な技術が使われてますよ。それこそ一般の陰陽師では使えないような術式です」
「ヒロキ殿、でしたな。こちらはこれ以外にカードはありますか?」
「ええ、とりあえず俺が手に入れたのは3パック、30枚のカードだけですが」
とりあえず全部出して見せる。
「なるほど、確かにカードゲームのように……なんと! こんな妖怪まで!?」
あー、激レアカードの奴な。俺も驚いたけど、まさか鳳凰とか朱雀とか麒麟までカード化出来てるとは思わなかったよ。
「これはもはや妖怪ではなく神獣ですなぁ。凄い、死んでも復活できるスキル迄付与されておりますな。ほー、こんな術式が! これは初めて見ますな。ドーマン式ではないようで」
「セーマン式にもこのような術式はありませんでしょう」
「しかし、術式全体はセーマン式ではないですかな? ただ、どうも我々陰陽師以外の術式も使われているようで、この辺りはタオ系ではないかな? 道士がこんな形の形式を用いていたかと」
「となると、このカード作成には陰陽師だけでなく道士も関わっているということか」
おおっときな臭くなってきたぞー。
道士といえば霊幻道士などに出てくる中国系の陰陽使いだ。
キョンシー相手にカンフーで戦ってる感覚があるけど、あれは映画のイメージが強いからな。
実際はキョンシー以外にもいろいろとやってるはずだが……
これはそっち側にも向かわないとダメな感じか?
たらい回しの予感がして来たぜ!




