1303.稲荷神社の新稲荷?
「では、しゅっぱーっつ」
本日のメンバーと共に稲荷さんの神社へと向かう。
メンバーは、稲荷さん、芽里さん、メリーさん、妖精さん、ヌトセさん、ハニエルさん、ルルルルーアさんだ。
プレイヤーは未知なるモノさん、マイネさん、タツキ君、ヒナギさん、りんりんさん、レイレイさんである。タツキ君についてはヒナギさんの付き添いで、陰陽寮に興味があるから参加したい、とヒナギさんが参加したから付いて来たらしい。
それとモブプレイヤー15名。なんか見知った顔もいるけど、まぁモブどもだ。
ダトウキングーとキュートマスターは何で来てんの? いやま、別にいいんだけどさ。
ぞろぞろとやって来たのは稲荷さんの神社。
巫女さんたちがせわしなく動いているくらいには大盛況のようで、沢山のプレイヤーが今日もお参りを……なんか、狐が拝まれてるな。
「な、な、なぁぁぁ!?」
「おや、元稲荷様ではございませんか? 急に神格を切り離しになられたお方がこちらの神社に何用で?」
入り口で驚き口をぱくぱくしていた稲荷さんを見つけた巫女狐娘が俺たちに挨拶のお辞儀をしたあと、冷めた目で稲荷さんを見る。
「お、おおお。おま。巫女!? これは一体どういうことじゃぁぁ!?」
思わず駆け寄り、叫ぶが、巫女さんは馬耳東風。
むしろ面倒くさそうに皆が拝んでいる拝殿にちょこんっと座ってる見知った狐さんを掌で指し示す。
「あちら、少し前より元稲荷様と神社の関係性が切れたことで焦っていた私たちを救ってくださった新たなる稲荷神、テイメ様でございます」
「て、テイメ? て、テイメッソスの狐えぇぇぇぇぇ!!?」
あー、テイメさんじゃん。俺らに気付いたテイメさんがよっす、と片手をあげて挨拶してくる。
そんなテイメさんに駆け寄ろうとする稲荷さんだったが、参拝者たちの波に呑まれてどこかに消え去った。
あ、別の場所に排出された。
人々に押されたようで、うにゅんっと押し出された稲荷さんが地面に転がる。
しかし稲荷さんは諦めない。再びテイメさん目指して参拝者の群れに突撃し、別の場所でぽんっと押し出されて地面に転がった。
「マジかー」
「はい、神力が消えてしまい私たちは途方にくれていたのですが、テイメ様が同じ狐だしテイム仲間の好だから、と立て直しにご協力いただきまして。ああして参拝客への挨拶までしてくださっているのです。まさに稲荷大明神としてかくあるべし、といえる姿で、私たちはもう、彼女に付いていく所存です!」
ありゃー、完全に稲荷神の神格奪われてんじゃね?
稲荷さんから稲荷神としての神格取ったら何が残るってんだ。
それと、今度からテイメさんが稲荷神になるの? ややこしいな。
でもテイメさん回避特化な狐さんだろ。それが神格得たら、結構ヤベー狐になるんじゃね?
「稲荷神は、儂じゃああああああぁぁぁぁ――――――――!!」
「コーンコンッコン」
テイメさんが勝ち誇ってやがる。
稲荷さんは参拝客によって散々に押し合い圧し合いされて土塗れになりながら地面に転がり、ちくしょぉーっと四つん這いで地面の叩く。
うーむ、さすがに俺にもちょっと関りがあるから放置する訳にもいかんなぁ。
「テイメさん、稲荷さんに神格返してあげない?」
「コーン?」
素で、なんで? とばかりに小首をかしげるテイメさん。
いや、うん、わかるよ。分かるんだけどさ。
稲荷さん可哀想でしょ?
え、自分は全然そうは思いません?
まぁそりゃそうだけど。テイメさんはこのまま神格化するのかい?
「コーン!」
それもいいだろうけどな、神格化したらもう悪戯とかできないぞ。
「っ!?」
だってそうだろ。神様として祀られてんだから下手なことできないだろうし、稲荷大明神になるならここでずっと拝まれるだけになるんじゃねぇか? 稲荷神って悪戯好きの神とかじゃないから厳かな姿が求められるだろうし。
告げてみると、テイメさんはムムム、っと唸る。
そして、やっぱり悪戯やめらんねぇぜ! っとばかりに参拝客放置して神様を退く。
厳か……な。神様を辞めたテイメさんから稲荷さんへと視線を向ける……厳か?
「そんな、テイメ様!?」
「コーン!」
私は稲荷が戻ってくるまで手伝っていただけさ! とばかりに鳴いて俺の元へとやって来る。
どうやら暇になったから付いて来るようだ。
「ふ、ふぐぅ、施しなど受けぬぅぅぅ」
「ほらほら、涙目になってないで神格繋ぎ直して来な」
「し、しかし……」
「稲荷さんは稲荷神で居たいんだろ? 他の狐に場所取られる前に、ほら」
俺に促され、よろめきながら拝殿へと向かっていく稲荷さん。
どうやら九字切りで消えてしまった繋がりを再び繋ぎ直せたようだ。
若干悔し泣きしてる気がするのは、まぁ稲荷さんだししゃーないってことで。
テイメさんはなんでまたここに来たんだ? え、偶然? なんか導かれた?
あー、狐繋がりで巫女さんたちに呼ばれたのかもしれんな。
「あのー、テイメ様、やっぱり我が神社の神になりません?」
やめて差し上げろ。稲荷さんがまた泣いちゃうだろ。




