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1128.天界裁判17

 んー。これってもしかして。いやーでもなー。

 目の前で応酬を繰り広げるメタトロンとサラカエルさん。

 二人の主張は共に自己の審判論の主張し合い、相手を否定し自分の在り様を押し付けようとしているようなものである。


「メタトロン、正義の為に何を成すかではない、罪を正確に把握し適切な罰を与えるのが裁判長の役目だ!」


「否! 罪人は罪の重さを全く理解しない、告発されるだけの罪があると理解し罪に向き合うならばいざ知らず、弁護人などという他者を仕立て自分の罪を軽くすることだけを考える罪人のなんと多いことか! 罪を軽くするな! 罪とは贖うべきものだっ、不正に軽くするというならばこちらはより重い罰を与えるしかないではないか!」


「それが傲慢だと言っている! 現にアクニエルに告発された者たちは無実の者もいた。ほとんどがアクニエルの過剰反応、あるいはでっち上げだ! それを証明しようとした者たちの言葉を無視し、より重い罰を与え堕天させるなど言語道断ではないか!」


「……なんか、メタトロンの主張も分かる気がするなぁ」


 なんかマイネさんが物憂げな顔で語りだしたな。

 まぁマイネさんも結構正義の為に強引なとこあるからねぇ。ゼロかイチしか考えてないからちょっとしたことで道を踏み外すんだよキミは。


 正義の味方と戦うことになったから自分は悪人であるべきだ、とかさ、正義の味方に諭されたから自分は正しくあるべきだ、なんて極ブレするから精神的に不安定になるんだよ。

 人間なんだぜ俺らはさ。

 プレイヤーはこの世界じゃゲームを楽しむだけの存在だ。思いつめる必要なんてないし、必要以上に関わり過ぎる必要もない。まぁ俺はハナコさんのためならなんだってするつもりだし、現実捨ててもいいとは思ってるけどさ。


「マイネさんや」


「なによ?」


「せっかくのゲームなんだし、もちっとほのぼの行こうぜ? ゲームで自分追い詰めるのはなんか、違うだろ? ゲームってのは楽しむため、うっ憤晴らすためにやるもんであって鬱になるためにやるもんじゃねぇし、絶望するためにやるもんでもねぇだろ?」


「そんなこと、言われても……」


「失敗してもいいんだ。絶望的な状況でも楽しめりゃそれでいい。でも、せっかくのゲームで絶望するのは違うだろ。俺みたいに外道な行いしながらも、楽しんでやればいいし、ココで失敗して罪人になっても胸張ってプレイングしていきゃいいんだ。別に罪人にされたからゲーム辞めるつもりで暴走する、なんてする必要もねぇ。どうせ乱闘するなら楽しめよ。まぁ、こっちもやれるだけやって無罪取りに行くからさ」


 っし、そろそろ休憩は終わりでいいだろ。

 どうやらこの先はプレイヤーが介入しないと進みそうにないし。

 二人の主張聞いてたらなんでメタトロンがアクニエルに加担してたのかなんとなくわかって来たしな。


「はーい異議あり異議あり異議あーり」


 二人の主張合戦に割って入る。

 双方白熱していたようで、俺の横やりにギロリと睨みが二方向から来た。

 すっげ、有名大天使の睨みとか恐ろしすぎっぜ。案内人君とかなら震え上がってたかもしれないな。


「メタトロンさんよ、ちょいといいか」


「私にか、なんだツチミカドヒロキ。私は貴様の弁論を認めた訳ではないぞ」


「そりゃどうも、それより、今の主張だよメタトロンさんよ」


「主張がなんだ? 私は曲げる気はないぞ」


「いや、曲げなくていいけどな。その主張だとさ、告発された側が悪いんだろ? 告発されるだけの罪がある。その主張で行くとさ。ほら、俺が告発したわけじゃん。メタトロンという裁判長を。あんたの今までの行いに罪があるってさ。そうなると、告発されるだけの罪があるってことになるんだよな?」


「そ、それは……」


 メタトロンが押し黙る。

 そう、彼の主張通りのことを考えた場合、告発されたメタトロンは大人しく罪を認めるべきであり、抗うならばさらなる罰を受けるべきであるわけだ。


「今のあんたの行いは、自分の主張を真っ向から否定しているんじゃないか?」


「ぐっ」


 俺の言葉でようやく気付いた、といった顔で考え始めるメタトロン。

 正義の暴走の果てに、彼は引き返すべき場所で引き返せなかった、だから、暴走するしかなかったんだ。そこにアクニエルが付けこんだ。

 結果、誰にも止められないまま多くの被害を出してしまった。

 言うなれば、キカンダーさんたちが居なかった場合の悪落ちマイネさんみたいな状況である。


 自分が正しいと信じた正義が、たまたま他者にとっての極悪であった。

 それだけのことなのだ。

 とはいえ、それこそが大罪なのだ。


「わ、私は、違う、私はっ!」


「メタトロン。あんたは既に告発されている。己が罪に向き合うべきではないのか? それとも抗い、自分が無罪だと主張するか? 今まで、あんたが自身が否定して来た、弁護を使い自分の罪を軽くする被告たちのように」


「あ、あぁ……」


 両手で頭を抱え、自分が行ってきたことと今の自分の状況、そして自分の正義がせめぎ合う。

 AIでしかないはずなのに葛藤の姿すっげぇ人間っぽいなメタトロン。絶望的な顔すんのすげぇわ。

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― 新着の感想 ―
メタトロンはなんともまぁ、警察や司法に向いていない思想の持ち主だな
なんてやつだヒロキ...ヤツはフラグのみならずAIすらも破壊する...
メタトロンに向ける顔文字はまさにこれ m9( ^∀^)
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