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【完結】転生したら黒魔法しか使えなかった。でもイケメン黒龍を使役した  作者: 茄乙モコ
【第4章】ソリティア王国とエスティオ
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第58話 ソリティア王国の街

私たちはいくつもの山や川、そして街や村を越えてソリティア王国を目指していた。


途中の街で丁度いい黒いハンドカバーを見つけ左手にはめる。サービスで刺繍をしてくれるというので、青薔薇の模様を頼んだ。刻印は赤だけどドルマンの魂は綺麗な空色だ。せめてこれだけでもその色にしたかった。これで左手の甲に刻まれた赤薔薇の刻印も隠れ、いちいち布を巻く必要はなくなった。


またルーカスもドルマンもそれぞれ魔力を感知させない特殊なローブを羽織っているため、今のところは街に入っても特に人々から恐れられずに済んでいる。

ただ二人とも綺麗な顔をしているせいか、歩いていると女の人が何度も振り返ることがあった。アリーシャも可愛らしいとは思うが、二人の前だと霞んでしまいそうだ。


夜は宿屋に泊まり進む方角や位置を確認し、体力回復のため眠りにつく。

当然二人に魔力を渡すのも忘れない。特にひたすら飛んでくれているルーカスの消耗は激しい。


それから一度だけドルマンに頼まれて血をあげた。左の人差し指を差し出すと、かぷっと噛まれドルマンの

肌がほんのり赤くなる。最後に指をペロっと舐められた時はルーカスがまた怒っていたが、それくらいは許容してもいいかと思ってしまう自分がいた。


そして出発してから六日目の夕方、ついにソリティア王国の上空までやって来た。

少し離れたところで降ろしてもらいルーカスは人の姿に戻る。

その後はドルマンの瞬間移動で一気に街の中に入るという計画だ。


「じゃ、俺を離すなよ。」


ドルマンの腕につかまると一気に重力がかかったようにズンと負荷がかかり、目の前が真っ白になって目をつぶった。


「もう、いいぞ。」


そっけないドルマンの言葉とともに目を開けると、そこは人気のない路地裏。と思いきやすぐ横で腰を抜かした男が一人。


「な、なんだ!お前たち!」


(まぁ突然、人が現れたらビックリするか…。)


すかさず私は男の目をほんの0.5秒。その間、彼の魂に闇魔法をかける。


『汝の魂に刻む。今より五分前まで見たことを忘れよ。』


一瞬男の目が虚ろになり、すぐに正気に戻った。


「あれ…俺、何してたんだっけ。」


きょろきょろする男を後目に、「よし!」と思いながら私たち三人はその場所から離れた。そして自分で使っていながらやはりこの魔法は恐ろしいものだと実感する。

二千年前に粛清しようとした理由が何となく理解できてしまうだけに、自分がそうならないよう気を付けなければいけない。

決して自分の能力が他にバレてはいけないのだとフードを深く被る。あまり目立ちたくはないのだがルーカスとドルマンのせいでそれは難しくやはり何度も女の人が振り返る。その日は幸運なことに何とか宿屋にありつけ翌日の朝に王宮を訪ねることにした。


ドルマンの力を使えば簡単に王宮内に入ることはできるが、それだと不法侵入者になり面倒臭いことになりかねない。であれば正攻法で正面から王に謁見を申し込むのがいいと考えたのだ。

もちろんその場合は少し闇魔法を使わせてもらうけど…。


「何か食べに行こうか。」


このところまともな食事をしていなかったため、鋭気を養おうと近くのダイナーを見て回った。ルーカスもドルマンも魚より肉料理の方が好きなので、なるべくその手の食事処を探す。


歩いてみると街は要塞都市と言った感じで、あまり可愛げがない。コンクリートっぽい感じの材質で出来た四角い建物が立ち並んでいた

遠くには高い城壁が見え、外から攻め込まれるのを防いでいるようだ。

リュッセント王国がシールド魔法を張り巡らしているのに対して、ソリティア王国は物理的な障壁に魔力を込めて使う、魔道具の栄えた国だ。あの城壁もただの城壁ではないだろう。

ただドルマンの瞬間移動には対応してないようだけど。


さて、そんな感じで丁度良さそうなところを見つけ入ると、パン生地の上に肉やハム、海鮮などが乗ったピザ料理を出していた。追加で肉の塊焼きを頼み二人の機嫌を取る。

本当は(なま)一つ!と言いたくなったがそこは我慢した。


料理は浮いたお盆で運ばれて、飲み物はレバーを引っ張ると出て来るセルフ式。こうしてみると生活における魔道具はソリティア王国の方が人々の中で浸透していそうだ。

またお客さんの中には剣や弓らしき武器を持っている人たちが多いことから、やはり魔導師というよりも魔道具を使って戦闘するスタイルだというのは本当らしい。


この世界に早くも順応したと思っていたが、まだ知らないことはたくさんある。

もしこんな状況でなければ、私はもっと街をみてまわりたかった。


そうして少し旅の気分を味わったところで宿に戻ると、早くもドルマンがベッドに寝転んだ。睡眠時間の長いドルマンはいつも先に眠ってしまう。

今回の部屋はツインの部屋でベッドが二つとソファが一つ。

ルーカスはこれ見よがしにもう一つのベッドを占領すると、おいでのポーズをしていた。

最近は二人が家族化してきてしまい一緒にゴロっと寝ることもあったが、さすがに二人で一緒寝るのは恥ずかしい。ましてやドルマンが隣で寝ながら聞いている可能性もある。


「私、ソファで寝るから。」


不服そうなルーカスを置いて私はさっさとソファに寝転んだ。

体が小さいのでこれでも十分だけど、ここでふと思う。


なぜに自分がソファで使役した魔物がベッドなのだろうかと。

少々納得がいかないと思いつつも、ルーカスといちゃいちゃするわけにもいかずその夜を過ごした。


しかし朝起きるとなぜかルーカスにホールドされながらベッドで寝ていたので、夜の間に私を起こすことなく運ぶ芸当を身に着けたらしいことを知った。

そういえば油断も隙も無い奴だったなと思い出し、最初の頃のルーカスを思い出す。


いよいよ今日はソリティア王国の王宮だとカチコミに行くような気持ちで顔を洗った。


水と雷と土の魔導師を引き抜き連れて帰る。

思ったよりも難しいなと思いながら気合をいれる。


まだ部屋ではドルマンがすやすやと眠っていた。

完全に気を許しているせいか頬をつんつんしても起きやしない。せっかく気合を入れたのに気が緩みそうだとクスクス笑っていると、ルーカスが「浮気だ」とでも言わんばかりの目で見ている。


そしてルーカスがギュッと抱きしめ軽く私にキスした時、ドルマンがパッと目を覚まして言った。


「気が緩みすぎじゃないのか?まぁ、俺は人間がどうなろうといいんだけどな。」


あんたに言われたくないと思いながら、こんな日は次いつ来るのだろうと思っていた。

早くこんな戦いを終わらせてゆっくりしたい。


こうしてソリティア王国内に難なく侵入した私たちは、いざ王宮へと向かったのである。




本日18時に投稿できなかったため、23時に投稿させていただきました。

今日は物語は大きく動いていませんが次からまたドンドン展開していく予定です。

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