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【完結】転生したら黒魔法しか使えなかった。でもイケメン黒龍を使役した  作者: 茄乙モコ
【第2章】リュッセント王国と王国魔導士
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第31話 ルーカスの疑惑(1)

残忍な内容を含みます。気を悪くされたらすみません。

ルーカスに刻印で命令してから初めての夜が来た。

部屋にはあの新婚夫婦が使いそうな大きな天蓋ベッドが部屋の面積を占領している。

私はベッドの真ん中にテープを貼り、意識的な仕切りを作った。


「ルーカス、今日からこの線をはみ出さずに寝てちょうだい。いい?」

「ああ、わかった。」


要はシングルベッドが二つくっついてるとお思えばいいのよ。

というより最初からこうすれば良かった。


「アリー、お休み。」


ふと隣を見るとルーカスは境界ギリギリの所で横向きに私の方を向いていた。

またちょっと切なくなって意識してしまう。

ルーカスが目を閉じてから結局一時間くらいモヤモヤしていた。


月明りが部屋に差し込むと彼の艶やかな黒髪が綺麗に光って天使の輪を描いている。長いまつ毛と右目のホクロが浮き彫りになり、綺麗な骨格を映し出す。


(ルーカス、女の人をさらったって本当?嘘だよね?)


私はルーカスが見えないよう反対を向いて眠りについた。



♢♢♢



翌朝ルーカスを見ると、寝た時と全く同じ態勢で眠っていた。

安心したような寂しいような複雑な気持ちだ。


私はルーカスに触れるのを一瞬躊躇(ためら)いながらも、彼の肩に触れて軽く揺すった。


「ルーカス、起きて。朝だよ。」

「あ…、アリー。」


ルーカスが私の手に触れようとして、途中で固まる。


「アリー、今日も魔塔に行くのか?」

「そうだけど…。ちょっと午後は外に出る用事があって…。」


私はどうルーカスを説得してついて来ないようにするか考えていたが、返って来たのは意外な返事だった。


「そうか…。俺も少し行きたいところがあるから別行動でいいか?夜には戻るから。」

「えっ…ああ、うん。それは構わないけど。」


私は不安そうな顔でもしたのだろうか、ルーカスは笑って、


「そんな心配するな。ちゃんと戻ってくるから。刻印がある限りそう長い間は離れられない。」


と私の手の甲に視線を落とした。


そうして思いの他あっさりとルーカスとは別行動をすることになり、午後はディアナと一緒に門の前で落ち合った。ルーカスがどこに行くのかは気にはなったが、こちらも言わない以上聞くのはよそうと思った。

しばらくすると辛子色の魔導ローブを着た男が現れ、私たちを魔導車に乗せた。びっちりと窓は布で覆われ外が見えないようになっている。どうやら今から向かう女性の居場所を知られたくないようだ。


一時間ほど経っただろうか、揺れが止まりドアが開いた。

そして一件の家の前に着くと、私たちを連れてきた男は中に入るように示したのである。

家の中にお邪魔すると、少し白髪が混じったブルーの髪の女性が座って待っていた。

促されるようにその女性の前に腰かけると、こちらを見て話し始めた。


「こんにちは、お嬢さん方。話を聞きたいそうだね…。」

「はい…。」

「どこから聞きたいんだい?」

「あの…出来れば最初から。話せる範囲でいいので…。」


女性は目の前のお茶を飲みながら、ゆっくりと話し始めた。


「あれは私がまだ15歳の時だよ。花を摘みに行ったのさ。あの時は綺麗な青空でね…空を見ていた…。」


私たちは女性の話を静かに聞いた。


「だけど突然目の前が真っ黒なものに覆われてね…。」


彼女が15歳の時に黒龍に連れ去られた時のことを話していた。その後もとても詳しく話してくれた。連れ去られたところは龍族の住処のようで、そこにはたくさんの龍族がいたという。そこでは自分以外にも連れ去られた娘さんがたくさんいて、龍族と結婚させられていたそうだ。

結婚といえば聞こえはいいかもしれないが、中にはひどい龍族もいて殺されてしまった子もいるという。

私はそれを聞いてゾッとした。


彼女も危うく結婚させられそうになったが、その前日に部屋の鍵が開いており見張りもなかったために命からがら逃げだしたのだと言う。たまたま通りかかった魔導師に声を掛け助かったそうだが、それ以来外を出歩くのが怖くなってしまったそうだ。


自分を連れ去ったのは黒髪に目の下にホクロのあるまだ若い龍族の男だったという。


女性は名前も住んでる場所も秘密にされているらしく教えてはくれなかったが、嘘を言っているようには思えなかった。


「最後に聞いてもいいですか?」

「なんだい?」

「その連れ去った龍族の男の名前は…わかりますか?」

「ああ…わかるよ。」


私は唾を飲み込んだ。

お願いだから違っていてほしい!

でもその願いは呆気なく潰されることになる。


「ルーカスという男だよ。」


そこまで聞けば十分だった。私は深々とお礼をするとその女性の家を後にした。

ディアナもずっと押し黙ったまま何も言わなかった。

重苦しい雰囲気のまま王宮に戻り私は部屋に向かった。


「アリーシャ、待って…。」


ディアナが珍しく高圧的ではない様子で私を呼び止める。


「私の部屋でちょっと落ち着かない?このまま戻っても顔合わせれないでしょ。」


ルーカスは今日出かけるって言ってたから本当は顔を合わせることはないし、ディアナの部屋は正直乙女乙女しすぎてて落ち着かないけど、私は彼女の助言に従った。


「うん、ありがとう。」


私はディアナに手を引かれながら、彼女の部屋へと入って行った。






ルーカスが大人しいので少し読み応えがないかもしれませんが、最後までお付き合いしていただけたらと思っています。

読んでもらえていることが執筆の励みになっています。

ありがとうございます。

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