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【完結】転生したら黒魔法しか使えなかった。でもイケメン黒龍を使役した  作者: 茄乙モコ
【第2章】リュッセント王国と王国魔導士
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第30話 面倒な恋心

「アリー、あの子と話があるんだろ?俺は部屋で待ってるから構わず行って。」


ルーカスは刻印の命令以降すっかり大人しい。

前はあんなに抱きついて、どこに行くにもついて来たのに…。


「でも、ルーカス…怪我が…。」

「これくらいどうってことない。ポーションと魔力で何とかなる。」


ちょっと考えたがあの洞窟での怪我に比べると、軽傷(?)だったのでルーカスの言葉に甘えることにした。


「わかった。じゃあ、部屋で先に休んでて。」


すっかり私の部屋ではなく、私とルーカスの部屋だ。

そしてそれに全く抵抗がなくなっている。私はきっと完全にルーカスに気を許してしまっているのだ。


ルーカスを見送ると私は思いもよらずディアナの部屋にお邪魔することになった。

二人で話したいと言ったら「じゃあ、私の部屋に来ることを特別に許すわ」と何とも高飛車な感じで言ってきたからである。ディアナらしい。

私はクスッと笑いながらディアナの部屋に入ると、想像以上にお姫様な感じであった。

私の部屋にあるベッドに引けを取らないようなピンクの可愛い天蓋ベッド。そこに茶色のテディベアが鎮座して、デスクもソファも白と薄いピンクで統一されている。そして壁にはアイドルポスターのようにノクスの写真が貼られていた。

ノクスのことを好きだとは思っていたけど、これにはちょっと驚く。


「で、話ってなんなの?」


ディアナは腕を組みながら高圧的な態度を取っているものの、表情はそわそわして落ち着かない様子だ。きっと謝りに来たことがわかって嬉しいのだろう。


「さっきのこと、謝りたくて。」


私はそのままストレートに言った。


「売り言葉に買い言葉みたいになって、頭に血が上って良くない事言ったって反省してるの。ディアナ、ごめんね。私、あなたと仲直りがしたい。」


プライドの高いディアナのことだ。きっとこれくらい言わないと向こうも折れるのは難しいだろうと私は判断した。


「ダメかな?」


私はチラッとディアナを見る。

ディアナは少し口の端が上がっているのを見ると、すごく嬉しいに違いなかった。


「そ…そこまで言うなら絶交ってのを取り消してあげても構わないわ。わ…私も良くなかったし。」

「ディアナ、ありがとう!」


私はぎゅっとディアナの手を取ると、彼女は恥ずかしそうに目を反らす。


「なっ…何よ、急に。そんな大したことでもないわ。」


こういうところが私は見ていて可愛らしいと思う。素直じゃない妹みたいな…?


「仲直りしたついでに一つお願いがあるんだけど、いい?」

「何?」

「さっきの話、ルーカスには言わないでほしいの。」

「何でよ。」

「ゆっくり考えたいの。もちろんエスティオと結婚したいわけじゃなくて、ルーカスのことをもっと真剣に…。」


私がまっすぐにディアナを見ると、彼女は「ふぅ」と小さくため息をついた。


「アリーシャって意外と面倒くさいタイプだったのね。」

「えっ?」

「まぁ、いいわ。でも、黒龍様に問い詰められたら言うからね。まともに話してるように見えるかもしれないけど、私だって黒龍様は怖いんだから。」

「えっ…そうなの?全然そういう風に見えないけど…。」

「そう見えないようにしてるの。もし黒龍様以外に『おい、女』とか言われたらブチ切れて燃やしてるところだわ。」


そう言えばここに来る間、ルーカスはディアナの名前を呼ばなかった。


「…わかった。」


その後はディアナがあまりルーカスを待たせるなと言うので、彼女の部屋を早々に立ち去ることになった。そして部屋を出て行く時に明日のことを聞かれた。


「そう言えば、明日何時に集合なの?」

「えっ、何が?」

「連れ去られたっていう例の女のところに行くんでしょ。」

「そうだけど…。」

「あーもう!じれったいわね。私もついて行ってあげるって言ってんの!」

「ディアナ。」


本当は一人で明日行こうと思っていた。でもディアナが来てくれるという言葉がこれほど心強いとは思わなかった。私は「ありがとう」と笑顔で返すと、明日の時間と場所を伝えた。

ディアナは友達じゃなくて親友になれそうだ。

そんな気がした。


♢♢♢


部屋に戻ると椅子にルーカスが腰かけていた。上半身裸で傷口に何かを塗っている。

そしてポーションの瓶が半分空になって机の上に置かれていた。


「ルーカス、何してるの?」

「傷が深いところには直接塗って、ポーションを飲むと治りが早いんだ。」


知らなかった…。それなら洞窟の時もそうすれば良かったのかも。


「貸して。やってあげる。」


ルーカスは少し驚いたように私を見上げると、残りのポーションを差し出した。私はそれを手に取ると、腕や脇腹、そして一番ひどい背中に塗ってあげる。

傷口が白っぽく光って、膜がはるのがわかる。


傷の手当くらい問題ないよ…ね。エスティオだって24時間監視してるわけじゃないし…。


トントンと傷口の部分に優しく触れながら、カティの広い背中を見ていた。

いつもこんな大きな体に抱き締められてたかと思うと、またドキドキしてしまう。


「ルーカス、終わったよ。」

「ああ、ありがとう。」


ルーカスが熱っぽく私を見るので、私はつい目を反らした。


それからディアナと喧嘩したこととか、謝ったことなどを話して一生懸命沈黙を埋めようとしていた。

今までルーカスにドキドキすることは確かにたくさんあったけど、こうやってただ一緒にいる時にこんなに意識するのは初めてだった。


「アリー…。俺を見て。」

「えっ、何?」

「いいから俺の目をちゃんと見て。」


さっきから目線を合わせないようにしてたのは、やっぱりおかしかった…よね。

私はルーカスの方を向いて彼の瞳をチラッと見た。

するとルーカスは寂し気に笑って、また同じことを言った。


「アリー、可愛いよ。大好きだ…。」


それがまた何とも言えず苦しくて、私は目を反らした。

抱き締めることもなく、キスもないけど、これはこれでやっぱりドキドキしてしまうのだった。

書いていたらいつの間にか時間が過ぎていました。ということで4分遅れで投稿です。

これからも応援、よろしくお願いします!


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