第11話 ルーカスの邪心(1)
ルーカス視点です。
今日も俺は一人、ひっそりと東の森で静かに狩る。
前は魔物を狩っていたが俺の気配にビビッてどんどん逃げて行ってしまった。
仕方がないから生きていく分だけの魔力を得るため、死にそうな人間を見つけては魔力を奪う。
そうして俺は150年生きた。
人間のやることはいつも同じ。
破壊行為と権力争い。そして略奪。森の中で人を襲う人間を何度も見た。反吐が出る。
時々、俺を狙って黒魔導師が来るが当然さくっと殺して帰らぬ人となってもらう。
どうせ黒龍の力を人間同士の争いに使うつもりだろう。
人間なんて大嫌いだ。
親父はどうして人間なんかを嫁にしたんだろう。
しかも連れ去ってまで…。
俺は寿命の短い人間などより、同じ種族から嫁を取ろう。
そろそろ子孫を残さないとと思っていたし丁度いい。俺に熱烈にアタックしてくる南の国の龍族の娘でももらうか…。
そんな毎日が続いていたある日、東の森に異様な気配を感じた。
10人…いや20人はいるな。
明らかに今までとは違う魔力量を持った人間たちだった。
しかも風・水・火・雷・土とあらゆる魔法を合成して攻撃してしてきやがる。
装備も今までのやつらと桁違い。どこかの王国魔導士に違いなかった。
「これは本格的に俺を狙ってきたな…。」
俺は15人ほど返り討ちにしてやったが、俺も深手を負ってしまった。
今の魔力量じゃ本来の姿に戻ることも出来ない。
俺は返り討ちにした人間を1人かっさらい、魔力を奪って川に放り込んだ。
そして傷を癒すため人目のつかない洞窟へと逃げ込んだ。
「傷が塞がったら残りの奴等も…。」
そう呟きながら、俺は目をつぶった。
すると遠くの方から人間の気配がした。
だんだん近づいて来る。
奴らの仲間か…?
いや、女だ…。
そして可愛らしい声で「ひゃっ」と小さな声を上げた。
可愛らしいだって?俺が…人間に?
何だかいやに甘い匂いだ。
何だ…これは?
急に何だか熱いな…。
薄っすら目を開けると、ぼんやりとした中にキラキラ光る金髪と白い肌、ピンクの瞳が浮かび上がった。
何だ、これは…めちゃくちゃ。
「美味そうな匂いがする。」
そして俺はまた目を閉じた。
女は俺に何か飲ませている。
普通だったら絶対に口にしないのに、コイツの甘い匂いが俺を惑わせる。
俺はこの人間がもっと見たい。
もう一度薄っすら目を開けると、甘い匂いの女が目の前で眠っていた。
可愛いじゃないか…。
その時俺は親父の言っていたことが分かった気がした。
― 美味そうな女がいたから連れ去って嫁にした。
さて、俺はどうしようか…。
取りあえず明日ゆっくり考えよう。
俺は胸がトクトクするのを感じながら眠りについた。




