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トレモロ 4  作者: 安之丞


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4巻 2章 8話



阿弥陀村が襲撃された翌朝、早朝。


大広間の奥に奉行所から来た松平は座り、その向かいに阿弥陀家、HOMARE一行、ギルドが最後尾に座った。


キリッとした顔で、お奉行は話しだした。

「揃ったな。みな気楽に。日光に向かう道中、様子を見に来たついでに話を聞かせておくれ。まだ記憶が新しいうちにな。阿弥陀家当主、琳山(りんざん)。昨日の騒ぎは噂になっておる政略結婚でのトラブルが原因か?」


「いいえ、政略結婚は全て断られました。」


「断られた。そうか。理由は聞いておるか?全て断られたばかりで、すぐ婚姻できた理由を知っておるか?」


「三者三様でございます。婿入り、莉乃の仕事を容認できない、孤児院の子供達。莉乃は仕事先で戦争孤児をみつけると引き取らずにはいられない性分なのです。村のみなで子供達の才能をすくすく育てております。そこにおる虎徹君は婿に入り、40人の子と職人達、村人と家族になる事を良いと思ってくれた。そして虎徹君も莉乃も自由に飛び回り仕事をしても支え合える相手に巡りあったという訳です。」


「その婿殿とはどう出会ったのだ?」


「お見合いです。私が友人のトキオに相談し、兼定殿が推薦して下さいました。」琳山の話に天狗様と兼定はうなずいた。


「噂では婿殿はHOMAREとギルドに所属しておるそうだな。襲撃者達と面識はあったのか?」お奉行は奥を見た。


虎徹は緊張した顔で立ち上がった。「いいえ。面識はありません。」虎徹は言い終わると座った。虎徹の両サイドにいたクラウンとブラストは落ち着きがない。ブラストが小さく手を挙げた。


お奉行はブラストを指した。「何か意見があるなら申されよ。」


「は、はい。モジュール2個回収したので、解析して報告しましょうか?」


「モジュールとな?」


「はい。ノコギリドローンを操って襲ってきた証拠品です。」


「そうか。では分かり次第報告を。村人も職人も無事。商店も宝物庫、虎狼庵も無事。普段からの避難訓練の成果があったな。結婚も果たし、ひとまず琳山、波乱があったが無事で何より。阿弥陀村に何かあればいつでも駆けつけよう。みな大義であった。」


「ははー。」みな一斉に礼をした。

クラウンはその光景に驚いたが、見よう見まねで「はー。」と遅れて言った。


⭐️


「じゃあ、スーツの修復と、ブラストのモジュール解析も合わせてステーションに行ってくるね。」


「クラウン、私達は村の片付けを手伝ってるから気をつけてね。」ハニは宿の玄関でクラウンとハグして、ブラストとスノー、犬達を見送った。


⭐️


奈良ステーション。

サイプレス号内。


ギルドポッド「zone」でギルドスーツの修復を選ぶと3dプリンターが動き出した。交換パーツを作成している。


その間ブラストは自室で、回収した2個のモジュールの解析を始めた。


ブラストの部屋で一緒に待つスノーがクラウンに言った。「シシッ。お奉行様の顔圧で慌てて出発したけど腹へったー。なんかないか探しに行こーぜ、クラウン。」


「むっふっふっふっ。」クラウンはニヤッと笑ってポケットやチョコのスリングから柿の葉寿司をポロポロ出してきた。


「ナーイス!」ブラストとスノーは声が揃った。


「女将さんに朝もらったんだ。これめちゃめちゃ美味しかったよね。葉っぱに包まれててカワイイし100個食える。」


「そんな食えねーだろ。はは。」ブラストは笑った。


スノーはミニトマトの苗で実ったトマトをちぎって持って来た。つまみ(食べ)ながらロックを聴き、クラウンとスノーは出来上がったギルドスーツのパーツを破損したパーツと取り替えていく。


犬達は大きなクッションに一緒に丸まって寝ている。


ブラストは伸びをして言った。「っしゃ。出来たー。来て。」クラウンとスノーはブラストのモニターに集まった。ブラストはモジュールのメッセージをクリックした。


ー奪われた水晶。反逆者に報いを。逆らう者みな追い払え。立ち上がれ2世、お前達の時代だー


「水晶、、ヴァルにあげたやつだ!んー僕、奪わずに買ったけど。」クラウンは目を丸くした。


「シシッ。今回、虎徹の代わりに受けたクエストのログ、見直してみるか。」


「クラウンが最初にやったのはオレ達とアイドールからか。」


クエスト完了後、警察や奉行らの追加報告が続々と来ていた。3人はログをチェックし始めたが、目新しい情報は得られなかった。


ブラストはモジュール内のメッセージにもう1度目を向け言った。

「あれ?これ見て。同じ文章だけど、送信元は違う名前になってる。」


「本当だー。ヤブイヌ族が持ってた方は闇将軍、レシプロソー姉妹が持ってた方はグランピーってなってるー。」クラウンはディスプレイを拡大して送信者を読み上げた。


「同じメッセージ、2つのコードネーム。一つの組織じゃねーのか?お奉行様に聞いてみるか。」スノーが見ると2人はうなずいた。


スノーのコール。

拡大された画面いっぱいにお奉行、松平の顔面が映し出された。

「松平です。」


挿絵(By みてみん)


「うわっ。」顔圧にびっくりしてクラウンは慌ててディスプレイのサイズを小さくした。


お奉行は画面いっぱいのまま言った。「ん?ん?何かわかったか?」


ブラストがモジュールのメッセージの送信者の名前を言うと、お奉行はさらにキリッとした顔をした。「ふむ。その名は噂で聞いた事がある。そもそも闇将軍はアースから星外逃亡しているがな。」


「松平様!もっとヒントないですか?」クラウンは興味津々だ。


「んむ。しかと聞け!ヒーント。闇将軍は大人数での食い逃げから始まり、シャトルの乗り逃げ、公共の物や銅像を勝手に売買、オープンログで行き場のない者達をその場で集め、彼らが行く先々の都市は大混乱に陥った。悪党を救ったと小銀河系連合議員になったが、そのまま星外逃亡中である。」


「へー!噂は?噂話も聞きたい!」クラウンも前のめりになった。


「そちも噂好きか?かっ!かっ!かっ!噂ではどこかの惑星の輪に潜んでいるらしいぞ。」


「へー!!」3人は声が揃った。


「グランピーについては何か聞いた事ないっすか?ご存知でしたらヒント下さい!」ブラストも前のめりだ。


「んむ。しかと聞け!ヒーント。グランピーについては変装して星外逃亡、他はよく知らん。噂ではchaos(ケイアス)の一員と聞いておる。実際は知らんがな。わかる事はある。こやつらの組織には繋がりがない。今回の一連の報告書は読んだか?」


3人はうなずいた。


「マトリクス組織と言う言葉は聞いた事あるか?」


3人は首をかしげた。


「マトリクス組織とは機能、事業、エリアなど、それぞれの分野において協力するだけで、全ての犯罪に手を貸すわけではない。chaosは社会的に大きな力を持った者が犯罪行為を重ね、国外逃亡や星外逃亡する。権力者を取り込み組織は大きくなり、外からでも国や星に影響を与え続けている。行き場のない犯罪者達の頼れる組織となってしまった。所在は不明である。」


「噂はないですか?」


「もちろんある!しかと聞け!GALAXY FROM CHAOSと戦艦に書いてあると昔何かの記述で読んだ事がある。危ない組織故に、手ぶらで手を出すでないぞ!闇将軍とグランピーについてまた何かわかったら知らせる様に。よいな?」


「はっはー。」3人はお辞儀した。


お奉行はコールを切った。


「後でみんなと話し合うか。お奉行様、面白い人だったな!シシッ。」スノーが寝ている犬達を起こして、なでた。


「ブラストお疲れ!スーツもできたよー。」クラウンはスーツケースにギルドスーツをしまっていく。


「サンキュー!うおー、超キレイにできてんじゃん。」ブラストはクラウンの頭をなでて嬉しそうだ。


「へへー。そうだ!虎徹さんの結婚祝い探しに行かない?」


「いいねー。BMX?」スノーはアゴに手を当てた。


「それいいじゃーん!ハニとヴァルにも声かけよう。」


3人と2匹はサイプレス号を後にした。


⭐️


3章に続く。

絵:クサビ

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